刑事制度論[Criminal Justice and Penal System]

Numbering Code P-LAW2065460LJ41 Year/Term 2022 ・ 前期
Number of Credits Course Type 双方向・多方向形式と講義形式を併用する。
具体的には、毎回60分程度の講義ののち、30分程度の全員参加の討議を行う。
Target Year 2・3 Target Student
Language Day/Period 金3
Instructor name 稲谷 龍彦
Outline and Purpose of the Course 現代刑事司法制度の直面する重要な問題群について、学際的な手法を用いて批判的に検証し、刑事司法制度を構成する基本的法原理及び政策的基礎についての発展的理解を得る。
Course Goals 上記「授業内容」記載の各項目についてその内容を具体的に説明できるように理解して、上記「概要」記載の成果を得ることである。
Schedule and Contents 第I部 問題提起
1 近代刑事司法制度の現代的課題(1)
近代刑事司法制度を構成する基本的原理たる罪刑法定主義及び罪刑均衡原則の動揺について概観する。
2 近代刑事司法制度の現代的課題(2)
近代刑事司法制度を構成する基本的原理たる人権による自由の確保というフレームワークの動揺について概観する。
第II部 基礎理論
3 犯罪論の基礎(1):ラベリング理論と社会学的アプローチ
犯罪概念を社会学的な観点から捉えようとする見解について、ラベリング理論を中心に概観する。
4 犯罪論の基礎(2):合理的選択論と経済学的アプローチ
犯罪概念を経済学的な観点から捉えようとする見解について、合理的選択論を中心に概観する。
5 刑罰論の基礎(1):「生政治」とフーコー読解
刑罰概念について、フーコーの「生政治」概念を手掛かりに考察する。
6 刑罰論の基礎(2):「刑罰の最適化」論とベッカー読解
刑罰概念について、ベッカーの「刑罰の最適化」論を手掛かりに考察する。
7 刑事政策論の基礎(1):統計的思考と刑事政策
統計的思考の淵源と基礎とについて学び、刑事政策との関係について概観する。
8 刑事政策論の基礎(2):公共政策論と刑事政策
公共政策論の基本的な知識を学び、刑事政策との関係について概観する。
第III部 応用
9 犯罪論の現在(1):過失犯の処罰と「効率性」
過失犯処罰について、「刑罰の最適化」という観点から、他の制裁システムとの関係性やアーキテクチャとの関係性に配慮しつつ検討する。
10 犯罪論の現在(2):法人処罰と主権の限界
グローバルな企業活動によって、国家刑罰権が直面する二つの限界、すなわち外国法適用範囲の拡大現象による国内法の相対的地位低下及び多国籍企業と国家主権との力関係の逆転現象とについて検討する。  
11 刑事司法制度論の多様化(1):修復的司法の可能性とその限界
修復的司法の理念と実践とを学び、その可能性と限界とを分析する。
12 刑事司法制度論の多様化(2):代理人問題と捜査機関統制
捜査機関統制について、代理人問題の合理的解決という観点から、関係諸規定を分析する。
13 刑事司法制度論の多様化(3):刑事司法制度論の現代的展開
協議合意制度の開始や他機関協働の進展など、刑事司法制度の新たな展開について多角的観点から検討する。
14 犯罪学の現在:ペナル・ポピュリズムと科学的犯罪学
いわゆるペナル・ポピュリズムへの対抗言説のうち、科学的な犯罪学というアプローチの持つ可能性と限界とについて分析する。
PAGE TOP