刑事裁判演習[Seminar on Criminal Trial]

Numbering Code P-LAW2073180SJ41 Year/Term 2022 ・ 後期
Number of Credits Course Type 演習形式による。対話型授業、グループ討論を基本とする。記録教材を用いた学習では、実演や実習的要素も取り入れ、課題について研究、討論する。事例問題の研究、討論では、各回の題材について担当者がレポートを作成、発表し、次回の担当者が進行役となって少人数で討議する。判例・文献の調査能力、文書による説得技法、プレゼンテーション能力及びコミュニケーション能力の向上を図る。人数制限を行う(各クラス25名程度)。カリキュラムの構成上、各クラスの人数をなるべく均等にする必要があるため、いずれのクラスでもよい場合は、必ず刑事裁判演習①②の両方に履修登録すること。そのような調整を経てもなお、各クラスの登録人数に偏りが生じた場合、一方のクラスにのみ履修登録をした者のうち一部を他方のクラスに割り当てる人数調整を抽選により行うことがある。
Target Year 3 Target Student
Language Day/Period 木2
Instructor name 中川 博之
Outline and Purpose of the Course 「刑事訴訟実務の基礎」で習得した知識を前提としつつ、裁判所の訴訟運営や当事者の主張・立証活動がどのように行われるべきかについて、記録教材等を基に、手続の流れに沿って、ロールプレイによる交互尋問、事実認定の起案等も交えながら、具体的に検討することにより、法律上及び事実認定上の問題点の発見抽出能力、分析力、主張や判断の構成、表現能力等を培い、刑事手続を追行・運営する技術・能力を実践的に修得する。裁判員制度の下で、公判前整理手続における的確な争点・証拠の整理、争点に集中した分かりやすい公判審理、適正な事実認定などを実現するために、裁判所や当事者が果たすべき役割を意識しつつ、実務的な応用力を獲得することを目標とする。事例問題の研究、討論では、設例を基に、そこに記載された事実関係の中から、刑事実体法及び刑事手続法の解釈・適用上の個別具体的な問題点をいかにして発見・析出し、どのように処理・解決すべきかについて、深く考察する。
Course Goals 上記「授業内容」記載の各項目について,その内容を具体的に説明できるように理解して,上記「概要」記載の成果を得ることである。
Schedule and Contents 第Ⅰクール《第1回~第4回》では、殺人未遂事件の記録教材を基に、訴訟手続の進行に沿って課題の検討を進める。
① 第1回
公判前整理手続における争点の把握と整理の在り方を視野に入れ、記録教材にもとづいて、当事者の主張を想定し、実体法上及び事実認定上の問題点を抽出するなど、実践的に考察する。法情報の調査の在り方も念頭に置きながら、正当防衛及び過剰防衛に関する裁判例について研究、討論する。
② 第2回
公判前整理手続における争点整理の在り方を具体的・実践的に検討する。検察官の証明予定事実記載書・弁護人の主張予定事実記載書における主張内容、裁判所の争点整理の実施方法、難解な法律概念の説明方法等について、記録教材に基づいた研究、討論を行う。実体法に関する事例問題の研究、討論を行う。
③ 第3回
検察官の証拠調べ請求における証拠の厳選、弁護人の証拠開示請求、裁判所の証拠採否及び審理計画の策定等について、本件記録教材に基づいた検討を行う。手続法に関する事例問題の研究、討論を行う。
④ 第4回
検察官・弁護人の冒頭陳述、論告・弁論の在り方等について、本件記録・教材に基づいた検討を行う。本件に関する裁判所の事実認定についての起案、研究、討論を行う。
第Ⅱクール《第5回~第14回》では、強盗殺人等被告事件の記録教材を基に、訴訟手続の進行に沿って課題の検討を進める。
⑤ 第5回
本件における起訴状の記載内容、弁護人の基本的弁護方針について検討する。手続法に関する事例問題の研究、討論を行う。
⑥ 第6回
本件における実体法上の問題点を分析・検討する。因果関係論について、関連する裁判例を分析し、掘り下げた検討を行うほか、強盗罪等に関する刑法各論の問題点についても取り上げる。実体法に関する事例問題の研究、討論を行う。
⑦ 第7回
本件の事案に即し、弁論の分離、併合、国選弁護人の選任をめぐる問題点等を取り上げる。実体法に関する事例問題の研究、討論を行う。
⑧ 第8回
本件記録教材を基に、共同正犯か従犯かという争点に関して、当事者の主張を実定法的見地から分析し、公判前整理手続における争点整理の在り方を具体的、実践的に研究、討論する。実体法に関する事例問題の研究、討論を行う。
⑨ 第9回
本件記録教材を基に、任意性が争われた場面を想定し、当事者の主張を証拠法的見地から分析し、公判前整理手続における争点整理の在り方を具体的、実践的に研究、討論する。手続法に関する事例問題の研究、討論を行う。
⑩ 第10回
本件証拠である、借用書、捜索差押調書、鑑定書等について、証拠法上の取扱いを検討する。本件の事実関係を前提に、伝聞証拠の意義について掘り下げた検討を行う。手続法に関する事例問題の研究、討論を行う。
⑪ 第11回
本件の共犯者の1人について証人尋問が実施された場合を想定し、交互尋問の実演を行う。誘導尋問の適否、書面等を提示して行う尋問(199条の10~12)、伝聞証言の取扱い、尋問に関する異議と裁判所の裁定等について習得する。手続法に関する事例問題の研究、討論を行う。
⑫ 第12回
本件の事案に即し、鑑定手続と鑑定書の証拠能力、科学的証拠(DNA型鑑定、ポリグラフ検査)の取扱い、弾劾証拠等について検討する。手続法に関する事例問題の研究、討論を行う。
⑬ 第13回
記録教材に基づいて、本件における事実認定の在り方について、分析、考察を行う。実体法に関する事例問題の研究、討論を行う。
⑭ 第14回
実体法、手続法に関する事例問題の研究、討論を行う。実体法については、特殊詐欺の事案における共犯論、手続法については、違法収集証拠の証拠能力論など、これまでの講義で取り上げられなかった実体法及び手続法の重要問題について、演習形式での検討を行う。
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