刑事訴訟法総合1[Criminal Procedure (Advanced) I]

Numbering Code P-LAW2062160LJ41 Year/Term 2022 ・ 前期
Number of Credits Course Type 双方向・多方向形式による。後掲の教科書を用い、裁判例又は設例及びそれらに関する設問を素材として、問答ないし討論をする形で授業を行う。
授業の進め方の詳細については、第1回の冒頭で説明する。
Target Year 2 Target Student
Language Day/Period 月5
Instructor name 池田 公博
Outline and Purpose of the Course 法科大学院1年次基礎科目の「刑事訴訟法の基礎」において(法学未修者の場合)又は法学部での刑事訴訟法の授業等によって(既修者の場合)、刑事訴訟法に関する基礎的知識を修得していることを前提に、刑事手続のうち主として起訴前(捜査手続)の段階において生起する法解釈上の問題(立法論に及ぶ場合もある)を、網羅的にではなく重要度の高いものを中心に取り上げる。重要な裁判例や設例を素材として問答・討論を行うことを通じて、刑事手続における様々な事実的要素の中から法的に問題となる点を発見・抽出し、判例等の射程範囲を見極めながら、説得的・創造的な刑事訴訟法解釈論を展開する能力を涵養することを目指す。
Course Goals 上記「授業内容」記載の各項目についてその内容を具体的に説明できるように理解し、上記「概要」記載の成果を得ることである。
刑事訴訟法関係の基礎科目と基幹科目を通じての到達目標については、別に掲載する「京都大学法科大学院の到達目標」(刑事訴訟法)のとおりである。
Schedule and Contents 1.任意捜査と強制捜査(1)
任意捜査と強制捜査の区別の基準、任意捜査の相当性、とりわけ有形力の行使の可否を検討し、また、強制処分法定主義及び令状主義の意義並びに両主義の相互関係等についても議論する。犯罪捜査のための写真・ビデオの撮影の法的性格及び許容範囲を検討する。
2.任意捜査と強制捜査(2)
配送中の荷物のX線検査の法的性格を検討し、あわせて、GPS捜査をめぐる諸問題についても考察する。
3.職務質問・所持品検査
犯罪捜査の端緒の種類と意義を確認した上、とくに職務質問とそれに伴う所持品検査の許容範囲について検討し、あわせて、自動車一斉検問をめぐる問題等も取り上げる。
4.任意同行と取調べ
逮捕・勾留中でない被疑者に対する宿泊を伴う取調べ等の適法性を検討しながら、任意同行、任意取調べの限界について議論する。
5.おとり捜査
いわゆるおとり捜査をめぐる法的諸問題について検討する。
6.逮捕・勾留(1)
刑事訴訟法の定める逮捕及び勾留の手続と要件を確認した上で、逮捕と勾留の性格及び両者の関係について検討し、さらに、いわゆる逮捕前置主義、事件単位の原則、逮捕勾留一回性の原則についての理解を図る。
7.逮捕・勾留(2)
別件逮捕勾留・余罪取調べの問題についての理解を図る。
8.令状による捜索・差押え(1)
憲法35条の定める令状主義の意義・趣旨と刑事訴訟法の定める捜索・差押えの手続及び要件を確認した後、捜索差押令状の記載の特定性、差押えの範囲等の問題を検討する。
9.令状による捜索・差押え(2)
捜索の範囲、捜索差押令状の執行等の問題を検討する。さらに、 電磁的記録媒体の差押えの問題等についても議論する。
10.逮捕に伴う無令状の捜索・差押え
逮捕現場での無令状捜索・差押えについて、その根拠・制度趣旨ならびに時間的・空間的限界等を検討する。
11.体液の採取
検証や鑑定処分としての身体検査の意義・手続を確認した上で、強制採尿を中心とする体液採取手段の実質的許容性、及びその法的性格、令状の形式等について検討する。
12.会話・通信の傍受
犯罪捜査手段としての会話・通信の傍受の法的性格等について、通信傍受法の概要とあわせて検討する。さらに、会話当事者による秘密録音等の問題についても議論する。
13.身体拘束中の被疑者と弁護人との接見交通(1)
弁護人依頼権及び接見交通権についての制度の現状を確認した上で、接見指定をめぐる諸問題、とりわけ接見指定の要件・方式について検討を行う。
14.身体拘束中の被疑者と弁護人との接見交通(2)、黙秘権
接見指定の内容について検討を行う。 次に、黙秘権(自己負罪拒否特権)につき、その存在理由、適用範囲、効果等について検討する。
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