公法総合1[Public Law (Advanced) I]
Numbering Code | P-LAW2062020LJ41 | Year/Term | 2022 ・ 前期 |
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Number of Credits | Course Type | 双方向・多方向形式による。判例を中心とする事例を素材に授業を行うが、判例の蓄積の乏しい事項については、法律の規定や学説を素材にする。各テーマについての十分な予習が望まれる。 | |
Target Year | 2 | Target Student | |
Language | Day/Period | 火5 | |
Instructor name | 須田 守 | ||
Outline and Purpose of the Course |
「行政救済法」と呼ばれる分野について判例の状況を概観すると共に、判例で問題とされている個別行政法規の仕組みや行政法一般理論についての理解を深める。 「行政救済法」は「行政争訟法」と「国家補償法」に大別されるため、授業の進行もこの順序で行う。 まず、行政争訟法については、その全体像及び行政不服申立を概観した後、行政訴訟の典型である「取消訴訟」の訴訟要件、審理及び判決の効力について扱う。さらに、その他の行政訴訟類型、仮の権利救済の順にとりあげることとする。国家補償法については、その全体像を概観した後、国家賠償と損失補償に分けて検討する。 |
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Course Goals |
上記「授業内容」記載の各項目についてその内容を具体的に説明できるように理解して、上記「概要」記載の成果を得ることである。 行政法の基礎、公法総合2の前半と合わせた到達目標は、別に記載する「京都大学法科大学院の到達目標」(行政法)のとおりである。 |
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Schedule and Contents |
1.行政争訟法の全体像 行政争訟法の全体像を説明した後、行政上の不服申立ての一般法である行政不服審査法の基本構造を分析する。併せて、行政不服審査と行政訴訟の関係(原処分主義と裁決主義、不服申立前置等)についても取り扱う。 2.取消訴訟の対象(1) 取消訴訟の対象は最も論議の多い問題の一つであり、その対象と認められるか、すなわち処分性が認められるかは、実体法の規定に加えて、関連する国民の権利・利益の性質、別の機会における争訟提起の可能性等に係る複雑な問題である。ここではまず、処分性の一般的な定式と、原則的・例外的な処理を扱った代表的な裁判例を中心に検討する。 3.取消訴訟の対象(2) 引き続き取消訴訟の対象を検討し、特に、一連の行政過程の最終段階以前の段階で行われる行為の処分性に係る問題を中心に取り扱う。処分性をめぐる最高裁判例が一般的な定式の枠内に納まっているかも併せて検討する。 4.取消訴訟の原告適格 同じく、最も論議の多い問題の一つである原告適格について、学説の理解を深めると共に、裁判例の流れを具体的事案に即して検討する。 5.取消訴訟の訴えの利益 訴えの客観的利益(狭義の訴えの利益)について取り扱う。具体的な場合における訴えの客観的利益の存否は、関係する実体法の規定上、当該処分にどのような位置づけが与えられているかが決定的である。そこで、訴えの利益が論点となった具体的な裁判例に即して、検討を進める。 6.取消訴訟の審理・判決 取消訴訟の審理・判決に係る諸問題を検討する。審理に関しては、立証責任、違法判断の基準時、主張制限、複雑な訴訟形態を取り上げる。また、判決に関しては、取消判決の効力及び事情判決について理解を深める。 7.行政訴訟の諸形式(1) 取消訴訟以外の行政訴訟の諸形式のうち、無効等確認訴訟、不作為の違法確認訴訟、義務付け訴訟、差止訴訟、当事者訴訟(確認訴訟を含む)とその利用方法について検討する。 8.行政訴訟の諸形式(2) 前回に引き続き各訴訟形式について検討するとともに、いわゆる客観訴訟のうち住民訴訟にも言及する。 9.仮の権利救済 行政訴訟の仮の権利救済に関する問題、具体的には執行停止、仮の義務付け、仮の差止め、仮処分の制限などの問題を検討する。 10.国家賠償法1条に基づく責任(1) 国家補償法の全体像を説明した後、国家賠償法1条に基づく責任(公権力責任)の諸要件を検討する。 11.国家賠償法1条に基づく責任(2) 前回に引き続き、代表的な判例を素材として、国家賠償法1条の責任の諸要件を検討する。 12.国家賠償法2条に基づく責任 国家賠償法2条に基づく責任(営造物責任)の諸要件とりわけ設置管理の瑕疵概念を検討する。 13.損失補償 特別犠牲の概念、財産権の内在的制約の概念、事業損失などの問題点を検討する。 14.行政救済法の全体像 |