財産法の基礎1[Civil Law (Basic) I]
Numbering Code | P-LAW2051160LJ41 | Year/Term | 2022 ・ 前期 |
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Number of Credits | Course Type | 双方向・多方向形式と講義形式を併用する。 | |
Target Year | 1 | Target Student | |
Language | Day/Period | 月4 木1 | |
Instructor name | 潮見 佳男 | ||
Outline and Purpose of the Course | 「財産法の基礎1・2」と「家族法の基礎」の全体を通じて、民法の構造および民法上の諸制度に関する基礎的・体系的理解の獲得とともに、法的思考力の養成を目指す。「財産法の基礎1」は、民法典第一編総則と同第二編物権を対象とする。各回の授業は、受講者が入念に予習していることを前提に、対話形式で基本的知識を確認しながら、それらの基本的知識がもつ意味と問題の全体像について解説を加えるという形で進める予定である。 | ||
Course Goals |
上記「授業内容」記載の各項目についてその内容を具体的に説明できるように理解して、上記「概要」記載の成果を得ることである。 民法関係の基礎科目と基幹科目を通じての到達目標については、別に掲載する「京都大学法科大学院の到達目標」(民法)のとおりである。 |
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Schedule and Contents |
1.財産法入門、権利能力 まず、民法の体系および財産法の基本構造について概説する。つぎに、人の権利能力について取り上げる。 2.意思能力、行為能力 意思能力と行為能力に関する諸問題を取り上げる。 3.法律行為総論、法律行為の成立と内容確定 法律行為概念の意味、法律行為制度の基本原理を確認したうえで、法律行為の成立と内容確定に関する問題を取り上げる。 4.心裡留保、虚偽表示 心裡留保、虚偽表示に関する諸問題を取り上げる。 5.錯誤 錯誤に関する諸問題を取り上げる。 6.詐欺、強迫、法律行為の内容に関する無効原因 詐欺又は強迫による意思表示、強行規定違反の法律行為、公序良俗違反の法律行為に関する諸問題を取り上げる。 7.消費者契約法の規定による無効又は取消し 消費者契約法が定める無効・取消原因を取り上げる。 8.無効・取消し、条件・期限 意思表示又は法律行為の無効又は取消しの意義・効果を取り上げる。ついで、条件と期限に関する諸問題を取り上げる。 9.代理概論、有権代理 代理制度の全体像を確認する。ついで、代理行為の効果が本人に有効に帰属するための要件に関する諸問題を扱う。 10.表見代理 表見代理に関する問題を取り上げる。 11.無権代理、利益相反、代理権濫用 無権代理、利益相反、代理権濫用に関する諸問題を扱う。 12.法人、権利能力なき社団 法人と権利能力なき社団に関する重要問題を取り上げる。 13.時効総論・時効の完成 「時効」制度の全体像を確認した上で、時効の完成に関する諸問題を取り上げる。 14.時効の援用と放棄 時効の援用と放棄に関する問題を取り上げる。 15.物権法総論・物、物権の効力 物権の意味と種類、物権に関する基本原則について概観し、物の意味を扱った後、物権の効力としてとくに物権的請求権に関する諸問題を取り上げる。 16.物権変動総論、不動産公示制度 物権変動論の総論として、物権変動の原因と時期に関する問題を取り上げ、さらに不動産物権変動の公示に関する原則及び、登記制度に関する諸問題を扱う。 17.登記がなければ対抗できない物権変動① 不動産物権変動について、まず、対抗要件主義の意義を概観し、不動産物権変動論に関する判例及び主要学説をみる。ついで、第三者に対抗するために登記を要する物権変動の範囲の問題として、「取消しと登記」、「解除と登記」、の問題を取り上げる。 18.登記がなければ対抗できない物権変動②、対抗できない第三者、動産物権変動① まず、前回に続き、第三者に対抗するために登記を要する物権変動の範囲の問題として、「取得時効と登記」の問題を取り上げる。つぎに、登記がなければ不動産物権変動を対抗できない第三者について説明する。最後に、動産物権変動の対抗要件をみる。 19.動産物権変動②、占有権 動産物権変動について、即時取得に関する諸問題を取り上げる。つぎに、占有制度の全体像を概観した上で、とくに不法占有とその清算、占有訴権に関する諸問題を取り上げる。明認方法にも触れる。 20.所有権 所有権の内容、取得原因のうち添付を中心に扱う。つぎに、共同所有ならびに区分所有に関する諸問題を取り上げる。 21.用益物権、担保物権法総論、抵当権総論 まず、用益物権をめぐる諸問題を扱う。担保物権法総論として、担保の必要性、物的担保の意義、担保物権に位置づけられる権利の概要を確認した上で、抵当権の設定から実行までの流れを概観する。 22.抵当権の効力① 抵当権の効力の及ぶ目的物の範囲、債権の範囲、物上代位など、抵当権の侵害など、主として抵当権実行前の問題を扱う。 23.抵当権の効力② 抵当権の実行に際して生じる法律問題、とくに法定地上権および、共同抵当について扱う。つぎに、第三取得者の地位について取り上げる。 24.抵当権の処分、抵当権の消滅、根抵当権 抵当権の処分に関する諸問題を見た後、抵当権の消滅を検討し、根抵当権に関する重要点を確認する。 25.留置権、先取特権 留置権、先取特権の重要問題を扱う。 26.質権、譲渡担保① 質権との対比で動産譲渡担保の意義を理解する。次いで、不動産や債権の譲渡担保についても扱い、譲渡担保の総論的な問題を中心に扱う。 27.譲渡担保②、所有権留保 流動財産譲渡担保を取り上げたのち、所有権留保を扱う。 28.物権法に関する総括 前回までの講義を総括し、重要な問題についての知識を再確認する。また、時間不足で検討が足りなかった部分について、補足をおこなう。 29.民法総則・物権法に関する総括 これまでの講義を総括し、重要な問題についての知識を再確認する。 |