刑事訴訟法の基礎[Criminal Procedure (Basic)]
Numbering Code | P-LAW2051140LJ41 | Year/Term | 2022 ・ 前期 |
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Number of Credits | Course Type |
講義形式と双方向・多方向形式を併用する。 後掲の教科書を熟読していることを前提に、重要なポイントについて講義するとともに、必要に応じて具体的事例に基づく問答も行う。 授業の進め方の詳細については、開講前に別途文書により説明する。 |
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Target Year | 1 | Target Student | |
Language | Day/Period | 火4 | |
Instructor name | 堀江 慎司 | ||
Outline and Purpose of the Course | 2年次以降の刑事法関係科目を履修する前提として必要な、刑事手続全般についての基礎的な知識を修得するとともに、刑事訴訟法上の基本的な諸制度ないし原理の意義を根本から理解し、これに基づいて考える習慣・能力を身につけることを目指す。 | ||
Course Goals |
上記「授業内容」記載の各項目についてその内容を具体的に説明できるように理解して、上記「概要」記載の成果を得ることである。 刑事手続法関係の基礎科目と基幹科目を通じての到達目標については、別に掲載する「京都大学法科大学院の到達目標」(刑事訴訟法)のとおりである。 |
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Schedule and Contents |
1.刑事手続の流れ、刑事訴訟の目的と構造、捜査機関 刑事手続の流れを一通り概観した後、刑事訴訟の目的(真実の発見と手続の適正との関係等)及び構造(捜査と公判の関係、訴訟関与者の相互関係等)について基本的な理解を図る。次に、犯罪捜査機関にはどのようなものがあるかを概観する。 2.捜査の開始、任意捜査と強制捜査 捜査の端緒にはどのようなものがあるかを検討する。次に、捜査機関の行う犯罪捜査活動を任意処分と強制処分とに区別する意味とその基準を検討し、強制処分法定主義や令状主義の意義について理解を図る。 3.逮捕・勾留、取調べ等 被疑者の身体拘束手段として、どのような手続が設けられており、それぞれの要件は何かを確認した上で、各手続に関する法的な諸問題の概要に触れる。次に、供述証拠の獲得手段、とくに被疑者の取調べをめぐる法的問題を概観する。 4.証拠の収集・保全(1) 物的証拠の収集・保全のための手段として、現行法上どのような手続が設けられており、それぞれの要件は何かを確認した上で、各手続に関する法的諸問題を概観する。この回では、捜索、差押えを中心に扱う。 5.証拠の収集・保全(2) 前回に引き続き、物的証拠の収集・保全の手続に関する法的諸問題を概観する。この回では、検証、体液等の採取、通信傍受等を中心に扱う。 6.被疑者の権利・防御活動 被疑者(及び被告人)とその弁護人の防御権・防御活動につき、制度の概要を検討した後、とくに接見交通権、黙秘権に関する諸問題を概観する。 7.公訴提起(1) 公訴提起に関する基本原則を確認した上で、わが国の検察官に広範な訴追裁量権が与えられていることの意義、及びそこから生じうる問題について検討する。また、公訴提起の条件についても概観する。 8.公訴提起(2) 公訴提起の条件に関し、公訴時効制度について概観した後、起訴状に記載される訴因の明示・特定に関する問題を検討し、さらに、起訴状一本主義の意義についても考察する。 9.訴訟の主体、公判の諸原則、公判準備と公判審理 裁判所をはじめとする訴訟主体の地位・権限について概説する。次に、迅速裁判、公開裁判等の公判手続に関する諸原則の内容を概観する。さらに、公判準備に関する諸制度(とくに公判前整理と証拠開示)について概観した後、公判審理の流れを概説する。 10.審判対象と訴因 審判対象論及び訴因制度の意義について、現行法における裁判所と検察官それぞれの役割にも目を向けながら考察する。その上で、訴因変更の制度とそれに関する法的諸問題、特に訴因変更の可否、訴因変更の要否及び訴因変更命令の問題を取り上げる。 11.証拠法序説、証拠の関連性、伝聞法則(1) 証拠に関する基本的な諸概念の理解を図り、様々な証拠の種類を整理・検討した後、証拠の関連性の意義を検討し、科学的証拠の性質とその問題性について概説する。次に、伝聞証拠とはどのようなものであり、なぜそれが原則として排除されるのかを、供述証拠の一般的な特質に着目しつつ検討する。 12.伝聞法則(2) 前回に引き続き、伝聞法則の諸問題を検討する。この回では、主要な伝聞例外規定について、その構造や各規定の要件を確認する。写真や録音の問題も取り上げる。 13.違法収集証拠排除法則、自白の証拠能力、自白の証明力 違法に収集された証拠が排除されるべき根拠及びその基準を検討する。続いて、被告人の自白に関して現行法上どのような規制が存在し、またその根拠は何かについて、自白の証拠としての特質に着目しつつ検討する。 14.証拠の評価・心証の形成、裁判、上訴・再審 自由心証主義の意義、及び挙証責任と推定の概念について、基本的な理解を図る。次に、裁判の種類とそれぞれの効力について検討し、併せて択一的認定の問題についても概説する。さらに、上訴手続、再審手続の制度概要と基本構造を概観する。 |