Philosophy II

Numbering Code U-LAS00 10002 LJ34 Year/Term 2022 ・ Second semester
Number of Credits 2 Course Type Lecture
Target Year All students Target Student For all majors
Language Japanese Day/Period Mon.1
Instructor name MATSUE KEISHI (Part-time Lecturer)
Outline and Purpose of the Course  
 哲学においては古来、われわれを取り巻く自然世界をどのように捉えるかが、重要な問題の一つとされてきた。本講義はその点に関して「原子論」をテーマに考察を深め学んでいく。
 
 この授業では、「原子論(atomism)」と呼ばれる哲学的・自然科学的立場を手掛かりにして、西洋においてどのような経緯をたどって現在の自然科学が形作られていったのか、特に科学理論がどのような理屈でもって形成されていったのかを紹介し、考察していく。

 私たちが日常眼にし触れている「もの」が「原子(atom)」から成っているということは、もはや常識である(もちろん、いわゆる原子自体もさらに微小な粒子によって構成されている)。しかしこの「常識」が常識となるまでには実に長い年月を要した。この授業では、「原子論」という思想がはじめて現れた古代ギリシャ哲学(約二千数百年前)から、古代原子論という思想が復活した17世紀以降の、ボイルやニュートンの粒子仮説、ラヴォアジェやランフォードの熱理論をめぐる論争、19世紀後半のボルツマンとマッハとの原子論をめぐる論争などを紹介する。
 
 これらの科学思想史を紹介しつつ、それを理解するための手助けとして、自然科学という学問は一体どのような性格を持つものなのか、科学探求のための正しい方法は何なのかということについても考察する(いわゆる科学哲学と呼ばれる)。
Course Goals  
 「原子論」「科学哲学」についての様々な議論を学ぶことによって、ものごとに対する様々な見方を身に着け、いろいろな事柄についてより深く考察することができるようになる。
Schedule and Contents  
 以下のようなスケジュールで講義を行っていく。成績評価項目にある小テストについては、実施後の講義でその都度フィードバックを行うし、期末試験についてもフィードバックとしてコメントを行う。

第01回 講義全体の主旨・概要と成績評価などについて説明。
    講義の導入として、物理学者リチャード・ファインマンの原子論について
    の発言を紹介する。

第02回 原子論という思想が誕生することになった背景としての古代ギリシャ哲学
    を紹介する。特に自然現象を説明するための様々な学説について考察す
    る。まずはミレトス派の哲学者たち(タレスとアナクシマンドロス)。

第03回 ミレトス派のアナクシメネスとエレア派のパルメニデス。

第04回 レウキッポスとデモクリトスの古代原子論。 

第05回 エピクロスの原子論とルクレティウスの原子論。

第06回 17世紀以降には様々な形で哲学や科学理論に原子論が取り入れられたの
    で、それを紹介する。まずロバート・ボイルの原子論

第07回 ニュートンの原子論  

第08回 18世紀の科学思想において、原子論が果たした役割を紹介する。具体的に
    はラヴォアジェとランフォードの熱理論をめぐる論争を紹介するが、その
    理解を深めるためにまず、科学哲学上のものの見方のひとつを紹介する。
    クーンのパラダイム論と呼ばれるものである。

第09回 クーンのパラダイム論の続き。 

第10回 ラヴォアジェの熱物質説。

第11回 ラヴォアジェの熱物質説の続きとランフォードの熱運動説。

第12回 19世紀の科学思想において、原子論が果たした役割を紹介する。具体的に
    はボルツマンとマッハの原子論をめぐる論争であるが、その論争の前提と
    して、科学の方法としての仮説演繹法を紹介。

第13回 ボルツマンとマッハの原子論をめぐる論争その①。

第14回 ボルツマンとマッハの原子論をめぐる論争その②。

 期末試験

第15回 フィードバック(期末試験についてのコメント)
Evaluation Methods and Policy  
 期末試験60%、小テスト40%。期末試験を60点満点、授業中に不定期に行う計4回の小テスト(1回につき10点)を40点満点とし、合わせて100点満点として評価する。
 
 毎回出席することは前提とし、小テストは授業中に不定期に行う。小テストはその場で配布物やノートを見ながら解答して構わない。

 期末試験はテーマを事前に与えて記述する形式のもの。講義内容をきちんと理解し自分の頭で整理できているかどうかを問うので、持ち込みは不可とする。期末試験のテーマなどについては試験日の一ヶ月以上前に講義中に通知する。
Course Requirements None
Study outside of Class (preparation and review)  
 【予習】については特に必要ないが、講義スケジュールは上に記したようなものなので、興味があれば各学者の生涯や時代背景について調べておくとよい。

 【復習】としては、授業中の小テストもあるので、配布物・ノートをしっかり見返し、講義で扱った著作などを適宜各自で読み、理解を深めておくこと。
Textbooks Textbooks/References  
 講義ではその都度、レジュメプリント・資料プリントなどを配布する。
References, etc.  
 各自で予習・復習するために、有益な文献については、適宜、講義中に紹介する。
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