A Normative Code for the Civil Service

Numbering Code P-GOV00 62130 OJ45 Year/Term 2022 ・ Second semester
Number of Credits 2 Course Type lecture and seminar
Target Year 1st & 2nd year students Target Student
Language Japanese Day/Period Thu.2
Instructor name SHIMADA-LOGIE HIROKO (School of Government Professor)
Outline and Purpose of the Course プロとしての行政官に求められる職業倫理とは何か。行政学の教科書では「公務員は全体の奉仕者であり、民主的統制に服し、中立性や専門性が求められる」などと記述されているが、これらの決まり文句が具体的にどのような行動を要求するのかは自明でない。とりわけ政策立案に携わる行政官に係る「中立性」の規範については、1990年代からの急激な政治主導の進展の下、いまだに解釈が確立しておらず、現場での明確な羅針盤がない。
本講義では、こうした規範の解釈の不安定さが実際の行政や国民生活にどのような帰結をもたらすかを考える。併せて、具体的な表現による規範化を進めた英国とも比較しながら、政治に対する矩を超えず、雇用主たる国民に応えるために、現代の行政官が担うべき責務を考察する。
抽象的な用語は、往々にして思考停止を招く。だからこそ、それを「いま達成すべきは何か」「そのために何をすればよいのか」「なぜそれができないのか」という具体論に置き換られる思考力は、職務遂行における武器となる。政策現場で働くことを目指す者にとって有益な基礎訓練となろう。
様々な具体的事例を示した上で討議を求めるので、他人事として高みから「〇〇すべき」と評論するのではなく、自分が直面した時にそれができるかという当事者意識を持って考えてほしい。
Course Goals (1) 行政官の役割に関する用語の多義性と解釈変化の背景、さらにその変化が国民生活にもたらした帰結を理解する。
(2) 現代にふさわしい行政官の職業倫理とその遵守に必要な枠組について、生身の人間の弱さを直視して考察できるようになる。
(3) 行政における生命線である「言葉」に対し、歴史や哲学も踏まえて鋭敏な感覚を磨く。
Schedule and Contents 1 序論① 趣旨説明、職業公務員の役割に関する定説、言語と規範をめぐる視点(ウィトゲンシュタイン:言語ゲーム、ウェーバー:神々の闘争、フーコー:言説の領界、ロザンヴァロン:意図の言語)、語感のズレと価値観のズレ
2 序論②(新人の宣誓と自己呪詛、公定解釈の不在、5つの中立性)、担当割当
3~6、8~13
 毎回、教科書の指定箇所につき、まとめ役と討論役とが発表を準備する。教員が補足説明を行った上で、受講者全員が気づきを提出。

3 幹部行政官の「中立性」認識の変遷
4 政治家の「中立性」認識の変遷①:昭和期の国会
5 同②:平成期の国会
6 国会における価値観の対立軸と制度改革への影響
7 事前課題に基づくクラス討議①(この事例でどう行動すべきか・行動できるか)
8 平成期改革による行政現場への影響
9 有識者提言との乖離とその理由
10 主要四か国の「中立性」の異同と担保手法
11 日本における受容と影響
12 英国の言語化事例とその効果
13 日英比較による今後への示唆
14 事前課題に基づくクラス討議②(実効性ある役割担保措置)
15 フィードバック(方法は授業中に説明する。)

上記予定は、受講者の関心、社会・政治の動き等を踏まえて適宜変更があり得る。
Evaluation Methods and Policy 担当した発表または討論の内容(40)、2回のクラス討議における貢献とレポート内容(30×2)で評価する。発表・討論を行わない者には単位認定できないので、支障が生じた場合には速やかに担当回の変更等を申し出ること。
Course Requirements 憲法・行政学の事前履修が望ましい。未学者は要相談。
Study outside of Class (preparation and review) クラス討議だけでなく、毎回の報告後に全員からコメントを求めるので、教科書及び配布資料を事前に読んでおくこと。言葉に対する敏感さを磨くよう、日頃から新聞や国会議事録等を読み込んでアンテナを立ててほしい。言葉が改竄された全体主義下の実態にも目を向けることを勧める。
Textbooks Textbooks/References 政治主導下の官僚の中立性, 嶋田博子, (慈学社、2020年)
References, etc. 良き統治, P・ロザンヴァロン(古城毅他訳), (みすず書房、2020年)
第三帝国の言語, V.クレムペラー(羽田他訳), (法政大学出版局、1974年)
憲法の番人(1931年版), C.シュミット(川北洋太郎訳), (第一法規、1989年), ※中立性の分類は1929年版にはない。
行政学概説, 金井利之, (NHK出版、2020年), 特に6、9、11~15
官僚, 真渕勝, (東京大学出版会、2010年)
職業としての官僚, 嶋田博子, (岩波新書、2022年6月予定)
Related URL https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/254187/1/jinji852_36.pdf
https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/254188/1/jinji853_35.pdf
PAGE TOP