国際研究集会「CEFRの理念と現実」

CEFR の開発者、翻訳者、使用者が語る発表当初と現在の批判、およびベルリ ン州立ヨーロッパ学校にみる複言語・複文化的能力の可能性 藤原三枝子(甲南大学), マルギット・クラウゼ小野(室蘭工業大学)

開催趣旨
CEFRは公開されて17年が経過し、言語教育界の「標準モデル」として世界各国の言語教育に圧倒的な影響を与えている。2018年にはCEFR補足版が刊行され、CEFRは言語コミュニケーションに関わる能力を網羅的に測定しうる装置へと進化しつつある。 日本においてCEFRはほぼ無批判的に受容され、英語教育のカリキュラムである CEFR-Jや、日本語教育のカリキュラムであるJapan スタンダードといった個別言語のカリキュラムがCEFRを参照の上で作成され、 CEFRに準拠した外国語教育のカリキ ュラムを作成し、さらに個別のCAN-DOを制作している学校もある。さらには2020年からの大学入試にCEFRの共通参照レベルを導入することが検討され、CEFR は日本の外国語教育の中核へと位置づけられつつある。
しかし、CEFRとはヨーロッパ統合の流れにおいて作成された教育資材であり、ヨーロッパ統合と無関係の日本で導入することにどのような根拠があるのか。CEFR は言語能力の測定装置としては利用されているが、はたして複数言語の学習や教育の価値は推進されているのだろうか。CEFRの訴える外国語教育の理念は日本の教育現場においてどれほど意識されているのだろうか。また、多文化共生社会の実現には貢献しているのだろうか。
国際研究集会「CEFRの理念と現実」では、CEFRの理念を教育学的観点だけではなく、社会学的次元においても検証し、実際の運用を批判的に討議し、CEFRの特長と限界を明らかにし、 CEFRの包括的な理解をめざす。

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