日本のフランス語教育の争点2022

講義詳細

年度
2021年度
開催日
2022年3月26日
開講部局名
人間・環境学研究科
使用言語
日本語, フランス語
教員/講師名
大木 充(京都大学  名誉教授)
西山 教行(京都大学 人間・環境学研究科 教授)
倉舘 健一(慶應義塾大学 総合政策学部(SFC) 講師(非常勤))
堀 晋也(獨協大学 外国語学部  非常勤講師)
Jean-François Graziani(Maître de conférences, Université de Kyoto)
長野 督(北海道大学 メディア・コミュニケーション研究院 特任教授)
柳 光子(愛媛大学 法文学部 教授)
Mouton Ghislain(琉球大学 グローバル教育支援機構 非常勤講師)
Wiel Eric(東京藝術大学 学内共同利用施設等 助教)
開催場所
京都大学 吉田南キャンパス・オンライン

大木 充 (京都大学  名誉教授)

「AI時代の教授法 — 必要なのはどんな教授法か」

この発表では,Gajo (2019)で示されている言語教育・教授法を俯瞰できる図に基づいてAI時代に求められている教授法について考える。その図では,monolingue / plurilingue と en usage / en mention という基準で言語教育・教授法が4分割されている。みなさんにとっては,これからの授業はこの図のどこに位置づけられる授業が良いのかを考えもらいたい。また,機械翻訳に関して,ポストエディットだけでなく,複言語・異文化間教育に用いる方法も紹介する。

 

西山 教行 (京都大学 人間・環境学研究科 教授

「教育・学習目的の変遷  — まだ実用目的でフランス語を教える必要があるのか」

この報告では、日本におけるフランス語教育を歴史的に考察する。幕末に化学書の読解を目的としてフランス語学習を開始した村上英俊、陸軍創設にあたりフランスを範としてフランス人将校による教育に始まった陸軍の士官教育、そして旧制高等学校における二言語教育を経て、1949年に開設された新制大学と、フランス語教育の歩みをたどり、それぞれの教育機関が何を目的としてフランス語教育学習を実践していたのかを考えたい。

 

倉舘 健一  (慶應義塾大学 総合政策学部(SFC) 講師(非常勤))

「機械翻訳に教師と学生はどのように向き合えばよいのか」

ニューラルネットワークや量子コンピュータにより計算処理が指数関数的に向上する、いわゆる「第四の波」が到来した。多言語ビッグデータの対照処理にディープラーニング(深層学習)を実装し実用化するのがニューラル機械翻訳(NMT)である。これは言語学や語学研究者、翻訳家、外国語教師と学生、社会人らの意志の延長線上に拡張される現実である。これらの計数的に再構成された自然とともに、生物本来の量子化環境=自然は再構築されていく。そして十分に発達したものは見分けがつかない。果たしてAIによる言語教育のシンギュラリティは現実味を帯びているのか。

 

堀 晋也 (獨協大学 外国語学部  非常勤講師)

「教授形態に関するアンケートの中間報告 – オンライン遠隔授業と対面授業,学生は本当に対面授業が好きなのか」

2年前の開始当初、オンライン授業は批判の的になり,対面授業の再開を望む声が各方面から上がった。しかし、対面授業の再開が本格化して以降も継続されたり対面授業と併用されるなど、オンライン授業は依然として選択肢のひとつとなっている。本発表では2021年度に実施したアンケート調査の結果をもとに、フランス語の授業形態に関する学生の意識を動機づけや自律学習能力との関係から考察していきたい。

 

Jean-François Graziani(Maître de conférences, Université de Kyoto)

“Les enseignants natifs sont-ils nécessaires pour enseigner le français au Japon ?”

Poser la question de la fonction des enseignants natifs dans l’enseignement du français au Japon revient, dans une large mesure, à s’interroger sur les objectifs de l’enseignement des langues étrangères, autres que l’anglais, dans l’enseignement supérieur japonais. La création de postes de lecteurs, dans les années 70 et 80, s’expliquait, sur le plan didactique, par un élargissement à une visée plus communicationnelle et, sur le plan administratif, par l’obligation d’étudier une 2e langue étrangère à l’université. Nous verrons, dans cette communication, en quoi l’enseignant natif francophone peut constituer, encore aujourd’hui, un atout pour les universités japonaises et contribuer à leur effort d’internationalisation.

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