現象学へのプロレゴメナー ーフッサール現象学を中心として

授業の特色
フッサール現象学をハイデッガーやその他20世紀のヨーロッパの思想運動の中でとらえながらその方法と理念をテーマ化している。

 

授業の紹介
この講義はフッサールの現象学を20世紀の思想運動の中に位置づけつつ、しかも理念と方法に立ち入って明らかにした。講義は14回の連結であり、最終的にフッサールの現象学の全ぼうを明らかにする。

講義詳細

年度
2010年度
開講部局名
人間・環境学研究科
教員/講師名
小川 侃(教授)

シラバス

授業の概要・目的
現象学の事象とは何かを議論して、とくにフッサールとハイデッガーの差異を際だたせたのちにフッサールの現象学の理念を明らかにする。現象学は方法への意識を鮮明にしている哲学であり、フッサール現象学の方法とは何かを明らかにする。
授業計画と内容

  • 第1回 ハイデッガーの「思惟の事象(Sache des Denkens)」 と フッサールの「事象自身に帰れ」の問題を解釈した。ハイデッガーの事象は唯一の存在(Sein)であり、フッサールの事象(Sache)は複数の様々な事象である。

  • 第2回 フッサールの現象学の理念は「厳密な学としての哲学」であった。その意味はどこに有るのか。それは方法的な思考と本質直観にもとづくということにあった。

  • 第3回 現象学の方法はなにか。現象学とは方法的な哲学であり、その意味では極めて近代的な哲学である。しかしその哲学がプラトンやその他ギリシャの本質の思考を受け継いでいるのは重要な点である。

  • 第4回 本質直観とはなにか。フッサールの本質直観は、形式的一般化と類的な普遍化とからなる。前者は数学の場合にみられる。後者は、実質的な抽象化である。

教科書・参考書等
Edmund Husserl: Philosophie als strenge Wissenschaft, Frankfurt 1967
邦訳:フッサール、厳密学としての哲学、 中央公論社、世界の名著、ブレンタノ・フッサール
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