第3回
出席メール
「むら」社会
2-28 第3回目の授業では、飼料効率の悪さと総合自給率の図が興味深かったです。
国の政策が「畜産物は自給、飼料は輸入」というものであるから、100%の国内生産、100%の飼料輸入、鶏肉のコストの75%が飼料費、1000億円の生産として自給率を考えます。すると、金額ベースでは57.1%なのにカロリーベースでは25%となって両者に30%の差が開きます。これから、表4-2-2の濃厚飼料輸入のところを見るとわかるように完全な加工型畜産が原因ということを明確に意識することができました。
これまでは、なぜ農業問題が環境問題につながっているのか(ひいては、なぜこの講義の名が「環境形成基礎論」なのか)よく理解していませんでした。けれども、この講義から(1)経済成長によって人々の生活が豊かになる (2)食文化に変化が起こり畜産物の消費が増える(表3-1) (3)輸入飼料が増えて結果、食料自給率が低下する (4)これを発展途上国の経済成長にもあてはめると(2)の時点で輸入飼料が足りなくなる (4)南北問題が起こり、後発国では飢餓問題が発生し地球の荒廃も進むという過程を経て農業問題が地球規模での環境問題につながるのだということもよく理解できました。
もう一つ、日本の農業のゆがみとして先生は日本の社会構造がムラ社会であることを指摘されていました。法学の考え方でも、日本人の権利意識の根底には稲作の伝統からくるムラ社会の意識というものがあって、日本人は権利を共同生活を営むのに大切な他者との利害調節を穏健にはかっていくものだと捉えるそうです。これは、「権利は闘争によって獲得するもの」だという西洋の法伝統とは異なり、「権利はあるようなないようなもの」という言葉で表されたりもします。先生の話を聞いて、そんな法学部で学んだことも思い出してしまいました。
ではでは、次以降の講義も楽しみにしています。
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作成日:2004年10月21日
改訂日:2004年10月21日
制作者:柏 久