流体力学(数理)

科目ナンバリング 開講年度・開講期 2022 ・ 後期
単位数 2 単位 授業形態 講義
配当学年 対象学生
使用言語 日本語 曜時限 火2
教員 田口 智清 (情報学研究科 教授)
授業の概要・目的 流体(液体・気体)や弾性体をはじめとする連続体の力学的挙動を理解するための入門として,流体力学の初歩について講義する。内容は流体力学に焦点をあてるが弾性体についても多くの事項は共通である。
到達目標 流体の変形および運動を解析するための基礎的事項および数理的手法を習得することを目標とする。とくに微分方程式等を通した流体運動の記述やその解析における微分積分学の役割を理解し,流体運動の初等的な解析ができるようになること。完全流体、粘性流体の物理的および数理的特徴に関する理解を深めること。
授業計画と内容 第1回 連続体の概念
連続体の概念について説明し,連続体を取り扱う方法の大枠を述べる。質点系の力学と連続体の力学の類似点,相違点について説明する。

第2回 物質微分と加速度
連続体の記述ラグランジュ的記述とオイラー的記述について説明する。物質微分(ラグランジュ微分)を導入する。流体における速度と加速度について説明する。

第3回 質量保存則と輸送定理
質量保存則である連続の式を導く。またレイノルズの輸送定理を導く。非圧縮性の意味を説明する。

第4~5回 連続体の運動方程式
運動方程式を導く準備として応力を導入する。その物理的意味,表現法(応力ベクトル,応力テンソル)について説明する。さらに,接線応力と法線応力,および主応力と応力の主軸について説明する。ニュートンの運動方程式から応力テンソルを用いた連続体の運動方程式を導く。

第6回 エネルギー方程式
エネルギーの保存則から,応力テンソルと熱流ベクトルを用いた連続体のエネルギー方程式を導く。3保存則(連続の式,運動方程式,エネルギー方程式)を概観しまとめる。

第7回 連続体の局所運動の表現
流体の局所変形を記述するために歪み速度テンソルを導入し,その意味について説明する。渦度を導入する。連続体の局所運動が局所変形と局所回転の合成であることを示す。

第8回 ナビエ・ストークス方程式
ニュートン流体を定義する。ニュートン流体における歪み速度テンソルと応力テンソルの関係式について説明し,圧力の意味付けおよび粘性係数の定義と意味について説明する。熱流に対するフーリエの法則を説明する。これらをもとに粘性流体の支配方程式であるナビエ・ストークス方程式系を導く。方程式とともに用いられる境界条件について説明する。さらに非圧縮性流体に対するナビエ・ストークス方程式を導く。

第9回~10回 粘性流体の力学
ナビエ・ストークス方程式の厳密解としてクエット流やポワズイユ流といった基本的な流れを説明する。また,レイノルズの相似法則とレイノルズ数の意味を説明する。平行二平板間の流れ,円柱を過ぎる流れなどの代表的な流れについて,その特徴や関連した重要な概念(流れの安定性,乱流への遷移,境界層とその剥離,渦度とカルマン渦列など)を説明する。

第11回~12回 非粘性流体の力学
完全流体の基礎事項について述べる。オイラー方程式からベルヌーイの定理を導き,その意味を説明する。また渦に関連して循環を導入し,非粘性流体で成り立つ渦の諸定理を説明する(ケルビンの循環定理,ヘルムホルツの渦定理)。

第13回 圧縮性流体と音波
圧縮性流体の基礎方程式に基づいて,音波の性質を説明する。

第14回 総括
講義の振り返りを行う。連続体理論の優れたところを概観するとともにその限界についても述べる。

<<期末試験>>

第15回 フィードバック

履修者の理解度や当該年度の講義の進み具合を考慮して、一部の内容を変更する場合がある。
成績評価の方法・観点 到達目標に対する達成度を定期試験の結果に基づいて評価を行うことを原則とするが、詳細は講義開始時に説明する。
履修要件 微分・積分の基礎的事項(とくに偏微分,線積分,面積分,体積積分など),線形代数の基礎的事項(直交行列,対称行列,固有値,固有ベクトル,行列の対角化など),力学の基礎的事項(質点の運動。力のモーメント,角運動量保存則など),ベクトル解析の基礎的事項(内積,ベクトル積,発散(div),回転(rot),勾配(grad),ラプラシアンなど)。
授業外学習(予習・復習)等 予習・復習が必要であり、授業で導出した式やその内容は復習を通して各自で理解しておくことが求められる。また、レポート課題が指示された場合は、その内容をよく理解しておくこと。
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