化学と生物の分子集合学
科目ナンバリング | U-LAS14 20062 LE68 | 開講年度・開講期 | 2022 ・ 後期 |
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単位数 | 2 単位 | 授業形態 | 講義 |
配当学年 | 主として1回生 | 対象学生 | 全学向 |
使用言語 | 日本語 | 曜時限 | 木5 |
教員 |
堀毛 悟史 (高等研究院 准教授) 鈴木 淳 (高等研究院 教授) 藤田 大士 (高等研究院 准教授) |
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授業の概要・目的 |
多数の分子が集合すると、単一の分子のみでは現れない新しい機能や現象が現れる事がある。これら分子集合体の性質は、化学、生物学の両分野にまたがって多くの研究者の興味を集めてきた。例えば、最近のノーベル賞受賞対象研究となった「リチウム二次電池」(化学賞)あるいは「免疫学」(医学生理学賞)も、分野や応用先は違えど、さまざまな分子が特定空間中で集合し示す機能を解き明かし、また制御したものである。 本講義では、生物学者と化学者が、「分子が集まったときに、何が起こるか?」という視点から、過去のノーベル賞受賞トピックを切り口に、化学および生物学の重要な発見や発展について講述する。化学においては、どのように分子集合体を合成するのか、また材料機能に結びつけるのかを論ずる。生物学においては、体内において分子が特異的に集合することによって発現する生理現象の変化や制御について論ずる。さらにこれら分野に共通し、ますます重要となる分子集合状態を観察する解析技術や、社会実装についても講義する。 また本講義は、個々のトピックを深堀りよりも、各学問分野が「歴史的にどのように発展してきたか」「どのように互いに関係しているか」という専門科目の講義では得られにくい「俯瞰的な視点」を与えることを重視する。授業中には、適宜プレゼンテーションやグループワークの機会を設け、講義内容の相互理解を深める。またグループワークでは、大学の研究から生まれた成果が社会にどのように還元されるのか、知財の取り扱いの例なども含めて紹介する。 |
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到達目標 |
■化学、生物学に共通して見られる「分子が集合することによる現象、機能」について理解を深める。 ■化学や生物学では、複雑な分子集合をどのように作り上げているのか。また我々はどのように観察できるのか。その合成や解析技術を学ぶ。 ■化学や生物学の各分野が、どのように発展し、どのように相互接続されているか、俯瞰的な視点を得る。 ■なぜ特定の分子が集まることを制御できれば、いずれは社会に役立つテクノロジー(例えば医療や材料など)につながるのか。そのミクロ~マクロのつながりを理解する。 |
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授業計画と内容 |
<授業で扱うトピックス> 【ノーベル物理学賞~化学賞の対象となった物質や現象を例に】 第1回-第4回 ・超電導:次世代交通や医療に必須、電気抵抗ゼロの現象と材料発見 ・核磁気共鳴:分子構造を解析し、体内の情報まで映し出す装置 ・リチウム二次電池:携帯から電気自動車まで、デバイスの革新技術 + 学生プレゼンテーション ---------------------------------- 【ノーベル化学賞~生理学・医学賞の対象となった技術を例に】 第5回-第8回 ・有機触媒・カップリング反応:分子を自在につなげる技術、医薬品の合成 ・分子マシン:ナノメートルのサイズで動く機械 ・進化分子工学:「進化の力を借りて」望みの分子を作り出す ・低温電子顕微鏡:2D画像からタンパク質3D構造情報を解析する + 学生プレゼンテーション ---------------------------------- 【ノーベル生理学・医学賞の対象となった生理現象や技術を例に】 第9回-第12回 ・がん:細胞が無限増殖する分子メカニズム ・細胞死:細胞が寿命を終える分子メカニズム ・免疫:細胞が異物に反応する分子メカニズム ・幹細胞:いろいろな種類の細胞を生み出す分子メカニズム + 学生プレゼンテーション ---------------------------------- 第13回 グループワーク/Q&A(1) 第14回 グループワーク/Q&A(2) 第15回 フィードバック |
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成績評価の方法・観点 |
・出席と参加の状況 60% ・レポートおよび/あるいはプレゼンテーション 40% により評価する。 |
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履修要件 | 高校で文系・理系共通に学ぶ範囲の生物学あるいは化学を理解していることが望ましい。 | ||
授業外学習(予習・復習)等 | 授業で触れるトピックはいずれもノーベル賞に関連しており、受賞に至る様々なエピソードがある。大きな研究成果に結びついた研究者の人となりや時代背景を予習しておくと、より効果的に聴講できるであろう。 |