第37回 京都大学品川セミナー「木のミクロな仕組みから分かること、見えること。」

木のミクロな仕組みから分かること、見えること。 杉山 淳司(生存圏研究所 教授)

ハーバリウムHerbariumとは、ラテン語(herba草+ariumに関する場所)に由来し、植物標本室のことであることは一般に知られるところでしょう。植物学者が分類の仕事に従事し、新種を発見したり、標本の整理をするところです。ザイレムxylem(木部の意)と併せて、Xylarium、つまり木材標本室が存在することをご存知でしょうか。実は、イギリスのロンドン南西部にあるキュー王立植物園が中心となって、世界中のXylariumのディレクトリーを作製しており、インターネットで検索することができます。Xylariumは、木材の標本を採集し、整理・管理し、また世界中の同様の施設と材の交換を行います。この作業によって資料が分散管理されることになり、貴重な学術資料として、また生物多様性に関わる生物標本として維持管理されています。木材解剖学、樹木生理学、年輪学、保存学などの研究の中心となっている場合が少なくありません。

京都大学のXylariumは材鑑調査室という名前で呼ばれています。他の施設に比べて特徴のある木材標本は、図1に示すような歴史的建築物由来の古材です。これら材鑑調査室のコレクションの一部は、大学のオープンキャンパス、講習会、講演会の際に一般公開しています。また、生存圏研究所の全国共同利用・共同研究の資質としても利活用されています。

PAGE TOP