形式化の問題

授業の特色
形式化という概念を、人文学、情報学、数学基礎論の歴史、社会科学等を融合・横断した視点から考察する。
授業の紹介
「形式化の問題」とは、自然物、人工物を問わず、システムを、「どの程度、また、どのように形式言語・半形式言語で記述し、予測し、manage できるか」、そして、そのときに「どんな問題が生じるか」を問うことである。「形式化の問題」は、19、20世紀の数学の基礎付け運動の中で、初めて学問的に明瞭に意識され研究され、その研究の到達点が、ヒルベルトの形式主義と、「数学の形式系は本質的に不完全である」というK. ゲーデルの定理であった。そのゲーデルは、彼自身の定理をルネッサンスに始まる西洋文明の「左傾化」の必然的到達点として理解していたが、それは M. ヴェーバーの近代化論・合理化論の視点に極めて近い立場であったといえる。この講義では、形式化の問題への入門として、林と八杉により岩波文庫のために書かれつつあるゲーデルの論文の和訳と解説などを元に、ゲーデルの定理とその歴史的背景、およびゲーデルの歴史観をウェーバーの合理性理論と対比しつつ解説する。また、現代の情報工学、特に、ソフトウェア工学の中心問題が、この形式化の問題であり、その解決には社会科学的アプローチが必要となることを、この数年のソフトウェア工学の中心的話題である UML, Agile法、Problem frames などを例にとって説明する。また、時間がゆるせば、これに関連して、経営学、生産工学、設計学などに現れる形式化の問題についても考察したい。

講義詳細

年度
2006年度
開講部局名
文学部
使用言語
日本語
教員/講師名
林 晋(文学研究科 教授)

シラバス

授業計画と内容
基本的な情報技術を演習を通じて習得しながら、その背後にある情報の本質や構造について考え、学ぶ。
主な演習内容としては、Officeソフトをはじめとする文書作成、表計算、presentation、file操作、文字コード、ネットワークとセキュリティ、Markup言語、データベース、基礎的なプログラミング(script言語など)、Web、各種OSなど。演習では実際にコンピュータを操作して情報技術を体験、習得するだけでなく、情報とは何か、どのような構造をしているのか、なぜ様々な操作や加工が可能なのか等について考え、学んでいくことを主眼とする。
教科書・参考書等
参考文献
K. ゲーデル「不完全性定理」、林・八杉訳と解説、岩波文庫2006年9月

David Hilbert's Mathematical Notebooks

David Hilbert's Mathematical Maxims
-ダフィット・ヒルベルトの数学的格言集
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