応用微生物学実験

授業の特色
約1ヶ月間集中して行う実験を通じて、自然界に存在する微生物の多様性を認識させ、応用微生物学実験の基礎を学ぶことにより、微生物のもつ多機能性や可能性を身近なものとして体感させる。

授業の紹介
微生物の研究の基本的な実験操作、すなわち滅菌操作・自然界からの分離法・形態観察・培養法について習熟し、微生物を用いた有用物質の生産とその生産物の定性・定量を行う。また、微生物による醸造を通じて発酵機構を理解する。さらに、微生物生理を生化学的側面から解析し、酵素生産について理解する。

講義詳細

年度
2004年度
開講部局名
農学部
使用言語
日本語
教員/講師名
阪井 康能(教授)
片岡 道彦(准教授)
備考
本実験で行われる「清酒醸造」及び「ワイン醸造」については、「酒類製造免許」の取得が必要です。許可なく行うと、法律により処罰されます。

シラバス

開講年度・開講期 2010・集中
教員
阪井 康能 教授
片岡 道彦 准教授
授業の概要・目的
第1〜2回 微生物の培養:微生物を扱う実験の最も基礎となる培地の調製法・植菌法・培養法を学ぶ。
第3〜4回 微生物の形態観察:各種微生物を肉眼あるいは顕微鏡を用いて観察し、その特徴を知る。
第5回 かびのスライド培養法:かびをホールグラス上で培養し、直接顕微鏡下で観察し、菌糸の成長や胞子の形成などの形態観察を行う。
第6回 自然界からの放線菌の単離:かびと細菌の中間的性質を示す放線菌を、土壌試料中から単離する。
第7回 細菌のグラム染色:細菌の分類の基礎となるグラム染色法を学び、細胞表層構造の違いを理解する。
第8〜9回 メタノール資化性菌の分離とその生育:メタノール資化性菌を集積培養法により単離し、生育に対するメタノールの影響を調べる。
第10〜11回 抗生物質生産とバイオアッセイ:放線菌による抗生物質生産を行い、バイオアッセイ法で定量分析する。
第12〜13回 Laccaseの生産と精製:担子菌の生産するLaccaseを菌体外生産させ、さらに酵素精製の基礎を学ぶ。
第14〜15回 L-チロシンの酵素合成:酵素法によるL-チロシンの合成を行うとともに、酵素誘導現象を理解する。
第16〜17回 清酒醸造:清酒醸造を行い、並行復発酵の原理と基礎を学ぶ。
第18〜19回 ワイン醸造:ワイン醸造を行い、単発酵形式の醸造を理解する。
第20回 アルコール定量:酵素反応を利用したアルコール定量を行い、その原理を理解する。
授業計画と内容
1.微生物の形態観察
細菌・酵母・カビ・放線菌・乳酸菌の肉眼及び顕微鏡による観察
グラム染色法、スライドカルチャーなどの習得

2.微生物探索と代謝生理
メタノール資化性菌の分離(集積培養)と生育
抗生物質を生産する放線菌の単離
バイオアッセイ法による抗生物質の定量

3.微生物による酵素生産と物質変換
細菌菌体を用いたアミノ酸の酵素合成
担子菌による酵素生産

4.発酵醸造
清酒醸造
ワイン醸造

成績評価の方法・観点
実験レポートの提出により、その内容を評価する。また、分離した放線菌やメタノール資化性菌の提出も求める。

教科書・参考書等
[1] 京都大学農学部応用生命科学科編 : 応用微生物学実験実験書2004年度版, PDF(1.4MB), 2004

[2] 京都大学農学部食品工学教室編 : 食品工学実験書・下巻, 養賢堂, 1970

[3] 京都大学農芸化学科編 : 農芸化学実験書・第2巻, 産業図書, 1957

[4] 緒方浩一 : 応用微生物学概論, 同文書院, 1972

[5] 谷吉樹 : 応用微生物学, コロナ社, 1992
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