生物機械計測学

イチゴ収穫ロボット実験風景 近藤 直(教授)

授業の特色
複雑で多様な自然現象および動植物の挙動等に内在する法則,現象を理解することにより,不定形で多様な対象物を計測する装置およびその原理,構成,仕組みなどを学ぶことのできるユニークな授業である。一部,PCを用いた実習を行うことも本授業の特色である。

授業の紹介
現代は,規格化された工業製品だけでなく,自然界の植物,動物をも計測したり,制御・生産する時代である。本授業では,複雑で多様な自然現象および植物の挙動等に内在する法則,現象を理解すると同時に,不定形で多様な対象物を計測する装置およびその原理,構成,仕組みなどを学ぶ。これにより,自然界における工学的計測に関わる用語,知識を幅広く身に着けること,植物の成長,挙動に関連する特性およびルールが理解できること,計測装置を備えた生物機械システムの原理が理解容易となることを到達目標とする。具体的には,太陽と自然界の色のしくみ(夕焼けはなぜ赤いか?葉はなぜ緑色か?虹のできる理由など),マシンビジョンシステムとその計測(果実の色,形状,寸法,欠陥計測),植物の力学的特性・粘弾性の計測,音を用いた農産物の体積計測,近赤外線を用いた穀物の食味,水分,糖度などの計測システム,ならびに計測システムにおける信号処理に関して解説すると共に画像処理演習を行う。

講義詳細

年度
2009年度
開講部局名
農学部
使用言語
日本語
教員/講師名
近藤 直(教授)

シラバス

開講年度・開講期 2008
教員
近藤 直 教授
授業の概要・目的
1. 自然界における色の発現のメカニズムとその計測方法
・色の三属性ならびにその計測方法
・太陽光の放射特性と色温度
・空が青い理由,夕焼けが赤い理由,虹のできるわけ,葉が緑の理由
・葉色の計測方法

2. マシンビジョンシステム
・マシンビジョンシステムの構成要素とエネルギの流れ
・電磁波の分類と照明の基礎
・偏光イメージングによる高品質画像入力(植物の各部位のクチクラ層とハレーション)
・光学フィルタの設計
・カメラの感度特性と種類
・画像入力装置の種類

3. 生物の光反射特性
・植物各部,土壌,食肉,昆虫の分光反射特性
・反射特性,蛍光特性に基づく画像

4. 果実等を対象とした画像処理・計測演習
・果実の色,形状,寸法,欠陥の計測
・ステレオビジョンに基づく果実までの距離の計測

5. 自然界の形状の規則性とその計測方法
・果菜類の葉序の規則性
・自然界におけるフラクタルとその次元

6. 人間の目,昆虫の目,機械の目
・人,昆虫,機械の目の機能の比較とその違い
・昆虫と植物の共進化

7. 植物・土壌等の種々の計測方法
・生物材料の物理的特性の概要
・生物材料の応力ひずみ曲線
・生物材料の粘弾性モデル
・摩擦特性と切断特性
・近赤外による非破壊計測と土壌の計測

8. 種々のセンサと計測システム
・機械式センサ
・電気電子式センサ
・流体式センサ
・ヘルムホルツ共鳴と音響式センサ
授業計画と内容
第1回 自然界における色の発現メカニズム,色の三属性ならびにその計測方法を学ぶ。
第2回 マシンビジョンシステムの構成要素とエネルギの流れを学ぶ。
第3回 照明の基礎,光及び電磁波の分類とその特徴を学び,種々の電磁波による農産物の画像の特徴を知る。
第4回 植物,土壌,食肉,昆虫の分光反射特性を学ぶ。
第5回 画像処理ソフトを用いて,農産物の色の計測方法を学ぶ。
第6回 画像処理ソフトを用いて,農産物の寸法および形状の計測方法を学ぶ。
第7回 画像処理ソフトを用いて,農産物の欠陥計測方法を学ぶ。
第8回 人間の目,昆虫の目,機械の目の機能の比較とその違いを学び,昆虫と植物の共進化について考察する。
第9回 果菜類の葉序の規則性ならびに自然界におけるフラクタルの形状を有する対象について考察すると同時に,その形状計測の方法を学ぶ。
第10回 生物材料の応力ひずみ曲線,粘弾性モデル,摩擦・切断特性等を学ぶ。
第11回 近赤外光を用いた果実の糖度計測,穀粒の食味計測,土壌センシングに関わる技術を学ぶ。
第12回 種々のセンサ(機械式,流体式,音響式)の原理,構成を学ぶ。
第13回 期末試験を行う。

[各回の授業体制]
第1回から第4回までは講義
第5回から第7回まではPCルーム (S-284) で演習
第7回から第12回までは講義
第13回は試験
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