ILAS Seminar

Numbering Code U-LAS70 10001 SJ50 Year/Term 2021 ・ First semester
Number of Credits 2 Course Type seminar
Target Year 1st year students Target Student For all majors
Language Japanese Day/Period Tue.5
Instructor name TANIGAWA YUTAKA (Graduate School of Letters Professor)
Outline and Purpose of the Course 今私たちが生きる現代日本社会は、どのようにして形成されてきたのだろうか。それを考えるうえで、おそらく野球の歴史はその社会の特質を映し出す一つのユニークな手がかりとなる。オリンピックなど4年に1度開かれる国際的メガイベントの「非日常」的祝祭と比して、プロ野球の公式戦や高校野球の大会は、日本社会独自の「日常」として定着したと言えるだろう。その「日常」が形作られ、またそこからさまざまなものの見方が生み出され、現代の「常識」となっている。「常識」を受け入れるのではなく、自分の力で〈問いなおす〉ことが、学問である。新型コロナウィルスの流行により、無観客試合、そして試合自体の中止という事態が現出し、揺るぎなき「日常」などないことを知った私たちには、なおのこと〈問いなおす〉能力が求められる。

本セミナーでは、明治から現代までの高校野球の歴史を素材として、近代日本社会の形成過程を多角的に学ぶ。のみならず、そこで〈問いなおす〉対象は何か、何を自ら問うべきかを考えあいたい。ただの野球オタクと知識を披瀝しあうような場でも、日本文化の特殊性を称揚しあうような場でもない。

また、歴史学の学問的作法・スタイルを身につける第一歩として、野球の歴史は素材としてきわめて有用である。受講生には、野球の歴史に関するテキストを起点として、各自〈問い〉を立てて史料の収集と論証・考察の結果を発表してもらい、教員も含めて討論を行う。それを通じて、さらに日本社会への〈問い〉を殖やして、次なる考察へとつなげていく。答えや体系を性急に求め「わかった」ふうになるよりも、よほど重要な営為である。
Course Goals 高校野球史に関するテキスト(学術論文)から自ら問いを設定し、史料や関連する研究文献を収集・吟味・消化したうえで、史料に基づきながら論証しプレゼンテーションする歴史学の作法を習得する。発表と討論をつうじて、大学での学問の基本的スタイルを身につけるとともに、日本近代史への自分なりの着眼を持てるようになる。
Schedule and Contents 第1回 イントロダクション
 授業の概要や具体的な進め方、テキスト等について説明する。発表割り当てを含めたスケジュールもここで決める。

第2~3回 教員による発表
 高校野球の歴史的概説、および先行研究の系譜論を予定している。基礎知識の共有と既存の研究を踏まえた〈問い〉の立て方を考える。

第4~13回 受講生による発表
 高校野球史の論文やコラムについて内容解説・論評をしたうえで、そこで〈問い〉を発見し、関係する史料や文献を集めて研究発表する。
 
第14回 一応の「まとめ」、または補足発表
第15回 フィードバック

なお各自の研究発表では、レジュメなどの配布資料を事前準備したうえで45分をめどに口頭発表し、30~45分ほど全員で討論をおこなう。
Evaluation Methods and Policy 授業における発表・発言により、到達目標が達成できているかを判断して、成績を評価する。詳細は授業中に説明するが、毎回出席することは大前提である。
Course Requirements 日本近代史への関心や知識を多少もつ人。自分で問いを立て実証的な学問をしたい人。野球に興味がある人、逆に嫌いな人、興味が無い人。いずれでも構わない。もちろん性別は全く問わない(男性中心で語られる歴史の相対化を図ることはきわめて重要)。野球の経験者だから有利に働くということもない。あえて言えば、知的好奇心の豊かな人が望ましい。
Study outside of Class (preparation and review) その日の発表に指定されている論文等は、当然多くの「?」をつけながら熟読し、もし自分が発表するとしたら何を〈問い〉として立てるか考えてくること。早めに発表内容を構想し、それに関わる史料や文献を探り、読み深め準備しておくこと。結果的に図書館へ足繁く通うことになるが、それを楽しむこと。
Textbooks Textbooks/References 「甲子園」の眺め方ー歴史としての高校野球, 白川・谷川編, (小さ子社、2018年)
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