ポストコロニアル思想文化論演習A

Numbering Code U-HUM41 26262 SJ31
U-HUM41 26262 SJ36
Year/Term 2021 ・ First semester
Number of Credits 2 Course Type Seminar
Target Year From 2nd to 4th year students Target Student
Language Japanese Day/Period Mon.5
Instructor name OKA MARI (Graduate School of Human and Environmental Studies Professor)
Outline and Purpose of the Course テーマは「思想としてのパレスチナ」。しかし、ここでいう「パレスチナ」とは、単に地理的なパレスチナと、そこで生起しているパレスチナとイスラエルの紛争のみを指すのではない。また、「パレスチナ人」の経験のみを指すのでもない。「パレスチナ問題」とは、パレスチナに移植された「ユダヤ人問題」であり、その淵源はヨーロッパ・キリスト教社会の歴史的宿痾たるユダヤ人差別と、とりわけ近代の反ユダヤ主義というレイシズム、そして、アジアに対する植民地主義的侵略にある。その意味で「パレスチナ」と東アジアの近現代は歴史の地脈によって繋がっている。
73年前の1948年、パレスチナ人はナクバ(パレスチナにおけるユダヤ国家建設にともなう民族浄化による民族離散と祖国喪失の悲劇)によって現代における第二のユダヤ人となり、73年の歳月のあいだに、パレスチナ人のディアスポラはグローバルなものとなった。依然、占領下や周辺アラブ諸国の難民キャンプに生きる者たちがいる一方で、欧米世界の「市民」となる者たちもいる。そこには、人間が「難民となる」こと、「難民として生きる」こと、「市民となる」こと、移住先の社会でのレイシズム、Homeland をめぐる問題(パレスチナという Homeland への帰還、移住先の社会を新たな Homeland とすること、人間にとって Homeland とは何か)など、現代世界でグローバルに人間の身に生起している出来事のエッセンスが凝縮している。「思想としてのパレスチナ」を考えるとは、《パレスチナ》を通して、現代世界の思想的課題を考えることに他ならない。
本授業では、演習を通して、《パレスチナ問題》とは何か、その基本を理解すると同時に、現代世界についての自身の問題意識を展開するための基盤をつくることを目指す。
Course Goals 「パレスチナ問題」が、旧約聖書やクルアーンに遡るような民族問題、宗教対立ではなく、近現代の歴史にその起源をもつものであることを理解する。
そして、ナクバから今日にいたる70余年間のパレスチナ問題の展開と広がりについて知る。
さらに、パレスチナ問題が提起する問題が、地理的な《パレスチナ》に限定される問題ではなく、現代世界を生きる私たちにとって、さまざまな思想的課題を提起しているものであることを学び、今後、「思想としてのパレスチナ」についてさらに理解を深めていくための、知的基盤を作る。
Schedule and Contents 毎回、担当者による発表+参加者全員での議論を基軸に授業をおこなう。
担当者は、パレスチナに関する英語の情報サイト(Electronic Intifada, Mondoweiss, I.M.E.U)等の記事を素材に、その内容についてより深く調べ、よりよく理解するための資料を追加し、レジュメ・スライド等を作成し、発表する。
そのあと、全員で議論し、問題への理解を深める。

パレスチナ問題のプロブレマティークは多岐にわたるため、ここでは、問題の骨子を構成するいくつかのテーマを以下のように設定する。

・ナクバ(パレスチナの民族浄化)/イスラエル建国(前史としてのホロコースト)
・難民、パレスチナ人の離散
・占領(エルサレム/西岸/ガザ)
・イスラエルのパレスチナ人
・その他

それぞれのテーマについて、2回~4回の授業をおこなう。

※関連する映画を観ることもあります。
Evaluation Methods and Policy 課題への取り組み方(随時、小レポートを課すこともあります)、議論への積極的参加度、および期末レポートで総合的に判断します(6段階評価)。詳しくは授業中に説明します。
Course Requirements ポストコロニアル思想文化論Aも併せて受講することが望ましい。
Study outside of Class (preparation and review) 従来は、上の参考文献に挙げた『パレスチナの歴史』、『イスラエルに関する10の神話』、『世界史の中のパレスチナ』、『双方の視点から描く イスラエル/パレスチナ紛争』など、《パレスチナ問題》を俯瞰的、通史的、総合的に描いた書籍をテクストに前期の演習を行っていました。その精読・通読を通して、パレスチナ問題の基礎知識を共有し、総体的に理解するためです。
併せて、授業の冒頭で毎回、担当者に任意のテーマに関するミニ発表をおこなってもらい、個別の問題について知見を広めるという形で進めてきました。
今期は、通史的な文献の講読ではなく、個別テーマの発表を主軸にしますので、参加者は、各自で、パレスチナの通史を読み、基本事項を把握してください。

また、授業では、関連する書籍や映画などを随時、紹介します。それらも可能なかぎり、フォローしてください。
References, etc. パレスチナの歴史, 奈良本英佑, (明石書店)
イスラエルに関する10の神話, イラン・パペ, (法政大学出版局)
世界史の中のパレスチナ問題, 臼杵陽, (講談社現代新書)
双方の視点から描く パレスチナ/イスラエル紛争, ダン・コンシャーボク、ダウド・アラミ, (岩波書店)
パレスチナの民族浄化, イラン・パペ, (法政大学出版局)
パレスチナ問題, エドワード・サイード, (みすず書房)
シャティーラの記憶 パレスチナ難民キャンプの70年, 川上泰徳, (岩波書店)
ガザに地下鉄が走る日, 岡 真理, (みすず書房)
その他、参考文献については、授業中に随時、指示します。
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