Seminar on Clinical Pedagogy I

Numbering Code U-EDU01 30417 SJ47 Year/Term 2021 ・ First semester
Number of Credits Course Type topics seminar
Target Year 3rd & 4th year students Target Student
Language Japanese Day/Period Wed.2
Instructor name SAITOU NAOKO (Graduate School of Education Professor)
NISHIHIRA TADASHI (Graduate School of Education Professor)
Jeremy Rappleye (Graduate School of Education Associate Professor)
Outline and Purpose of the Course 【分離への偏重から、分離と統合へ――COVID-19の時代における遠隔教育とコモンの追求】
 パンデミックの災禍によって社会システムや生活様式が激変する中、人々が直面する困難や危機の状況は、「幸せに生きるとはどういうことか」という誰もが抱える私的な問いが、とりもなおさず公共的な課題であることを突きつける。医療崩壊の脅威、身近な人々の経営の破綻、教育制度や方法の抜本的見直しは、民主主義社会において私と公を明瞭に区分する発想からの転換を促し、公共空間や共有の知の創造に個々人や家族の生き方が関わることを気づかせる。さらにパンデミック危機は、病と健康、正常と異常、共同体と孤立、生と死、人間と自然、内と外の線引きをする、閉鎖的なものの見方からの解放と包括的人間の捉え方を促す。人間の生き方を再考する上で、今、民主主義と公共の問題が新たに問い直されている。
COVID-19禍においてこの民主主義と公共の問題(Dewey 1927)を再考する上で重要な鍵を与えるひとつが、デジタルコモンズである。デジタルコモンズとは、越境を促すデジタル時空における共有空間、共有財、共有知という新しい公共の形のことである。VRやARを駆使したオンライン授業に見られるように、パンデミック危機への対応として、今やデジタルなスペースや共有知は、立場を超えて人々が知を結集する新しい公共のあり方を見直す可能性を秘めている。同時に、オンライン授業への批判に見られるようにデジタルコモンズの負の側面も取り沙汰されている。その肯定的可能性を批判的に引き出すために民主主義と教育が取り組むべきデジタルコモンズの主たる哲学的-実践的課題は、(1)民主主義社会は閉鎖と障壁の時代にどのような新たな形の開放性を育むべきか、(2)差別や偏見が顕在化する時代にあって、バーチャルリアリティの中の他者とこれを超える人の内的な生の緊張関係に対する想像力や美的感性をいかに育むか、(3)社会的距離再考の時代における、引きこもりを通じたと社会的絆の切断と再結集、そして(4)デジタル時空における批判的思考力の育成という課題である。
そのために本授業は、コモンズ、コミュニケーション、コミュニティの理論的支柱としてアメリカ実践哲学を参照しつつ、人々のより幸福な生活に資する超学際的でコスモポリタンなデジタルコモンズの創出を促す新たな人間学の構築を目指す。中心的な課題として、分離から統合への道筋を探る。ただし、ここでの統合は、全体性や一(いつ)への回収を含意するものではなく、分離の要素を絶えず併せもつ概念である
Course Goals (1)現代社会の諸問題として、人間の成長、変容、共同体、公共性の意味を具体的にさぐり、自らの生き方と切り離せない哲学として教育学を捉え直すことを目指す。
(2)主題に則して原典および関連する二次文献を批判的かつ対話的に講読する訓練を通じて、哲学的テクストを高度に読む力を習得する。
(3) 最終レポートの構想発表、レポート・論文の書き方などの指導を受けつつ、他者との対話を通じた自己評価を通して授業で学習した成果をさらに深め、卒業論文の執筆能力を身につける。
Schedule and Contents 第一部
第一回:導入・授業紹介、問題提起
第二回:「COVID-19と現代社会の諸問題:学際的視点から」(秋山知宏氏、ゲストスピーカー)
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第三回:卒業論文構想発表会
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第二部:デジタルコモンズと遠隔教育Distance in the Internet and online education
第四回: 「デジタルコモンズ」(秋山知宏氏、ゲストスピーカー)
第五回: Andrew Feenberg, “The Internet as Network, World, Co-construction, and Mode of Governance,” The Information Society (2019): 229-243.
第六回: ポール・スタンディッシュ「効果の物神崇拝」

第三部:分離の存在論:孤独に向き合うということ
第七回:ソロー『ウォールデン/森の生活』第五章「孤独」
第八回: 引きこもることとして参加すること(Cavell, “Politics of Interpretation”、『センス・オブ・ウォールデン』)講義
第九回: NHKドラマ「こもり人」視聴
第十回:NHKドラマ「こもり人」についてのグループ発表

第四部:分離から統合へ:
第十一回:統合学の視点からみた人間と世界(秋山知宏氏、ゲストスピーカー)
第十二回:統合的なスピリチュアリティ(Emerson, “The Over-Soul”「大霊」)
第十二回:国境を超えるコスモポリタニズム(ソロー『ウォールデン/森の生活』「むすび」)
第十三回:距離を教える教育“The teaching of distance in distance education,”グループ発表
第十四回:フィードバック
第十五回:まとめ
Evaluation Methods and Policy 平常点(グループ作業への参加と発言) 20%
最終レポート 80%
※平常点について
本授業は、講義とグループディスカッション(授業外の準備を含む)を組み合わせて行う。それらすべてに積極的に関与すること。
※最終レポートについて
提示されるレポート課題に即して、授業での講義、グループディスカッションを含め、授業を通じて発見した自己変容の過程を取り込んだレポートを執筆する。
Course Requirements 哲学思想文献の日本語、英語の読解力を必要とする。
Study outside of Class (preparation and review) 講読文献について予習する。
講読箇所について詳細な準備を行う。授業でのグループディスカッション等を通じ、内容把握を深めた後に、自身で復習し、次章の理解につなげる。
Textbooks Textbooks/References エマソン論文集(上), R. W. エマソン, (岩波書店 1972年)
エマソン論文集(下), R. W. エマソン, (岩波書店 1973年)
森の生活(ウォールデン)(上), H. D. ソロー, (岩波書店 1995年), ISBN:ISBN:4-00-323071-X
森の生活(ウォールデン)(下), H. D. ソロー, (岩波書店 1995年), ISBN:ISBN:4-00-323072-8
“Fetish for Effects,” Journal of Philosophy of Education, 34-1: 151-168, Paul Standish, (Blackwell, 2001)
センス・オブ・ウォールデン, スタンリー・カベル, (2005), ISBN:978-4588008337
A theory of everything: An integral vision for business, politics, science and spirituality, K. Wilber, (Shambhala, 2000)
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