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現在位置: ホーム シラバス集(2017年度) 情報学研究科 システム科学専攻(専攻専門科目) 3549000 複雑システムのモデル化と問題解決

3549000 複雑システムのモデル化と問題解決

シラバスID g_inf_5242
開講年度・開講期 後期
授業形態 講義
対象学生 Graduate
使用言語 日本語
曜時限 水2
教員
  • 加納 学(情報学研究科)
授業の概要・目的 複雑な社会における様々な問題を解決するために役立つ,対象の捉え方および問題への取り組み方の習得を学習目標とする.提供する方法論を構成する基本要素は,対象システムのモデル化,問題解決の枠組みとしてのフィードバック制御,種々の制約や要望を考慮した最適化問題としての定式化およびその解法である.前半では,収支に着目することで,製造装置,人口動態,経営状態,地球環境等が動的システムとして同じ枠組みで扱えることを示すほか,データに基づく汎用的なモデル化方法,意思決定や行動のモデル化方法を取り扱う.後半では,不確実な環境下で目的を達成するための枠組みを提供するフィードバック制御の考え方,および問題解決を最適化問題を解くこととする考え方を提供する.具体的な問題について全員で検討・討議を行い,演習形式を採り入れながら,本講義で提供する道具を活用できるようになることを目指す.
到達目標 複雑な社会における様々な問題を解決するために役立つ,対象の捉え方,モデル化の方法,および問題への取り組み方を様々な例を通して習得する.
授業計画と内容 【第1回】 序
 本講義の目的や進め方等の説明を行う。

【第2回】 対象を理解する道具としてのモデル
 対象や目的に応じて様々なモデルがあることを述べ,それらの特徴を概説する.モデルを構築するに際しては,どのモデルを用いるかに加えて,モデル化する範囲(境界)およびモデルの詳細度(抽象度)を決める必要があり,それらがモデルの妥当性に重大な影響を及ぼすことを指摘する。

【第3回】 恋愛微分方程式
 具体的なモデル化の一例として,恋愛する男女の心情や行動を表現する単純な微分方程式を取り上げ,極めて複雑に見える現象であっても,その特徴を簡単な数式で表現し,解析できることを示す。さらに,同じ微分方程式を用いて軍拡競争などもモデル化できることを述べる。

【第4~5回】 収支に着目したモデル
 モデル化の対象となるシステムは,その状態が時間と共に変化する動的システムであり,入力と出力と内部での生成・消滅によって時間変化を表現できる。原料を製品に変換する製造装置,ある地域の人口動態,組織の経営状態,地球環境等を,収支に着目して統一的に扱うモデル化方法について講述する。

【第6~8回】 データに基づく統計モデル
 対象の入力,出力,状態の測定データが与えられる場合に,そのデータを最もよく表現するモデルを構築する統計的方法について述べる。この方法は現象が未知であっても利用できるが,その簡便さゆえに誤用も目立つため,正しく統計モデルを構築するために注意すべき点を指摘する。また,応用例として,仮想計測技術および多変量統計的プロセス管理について述べる。

【第9~10回】 統合化定義IDEFに基づく意思決定や行動のモデル
 社会的な問題は人間の行動と切り離すことができないため,IDEF0(アイデフゼロ;機能モデリングのための統合化定義)を用いて,人間の意思決定や行動をモデル化する方法について講述する。IDEF0は階層化された線図によるモデル化方法であり,業務プロセスのモデル化などに広く利用されている。

【第11~12回】 PDCAサイクルとフィードバック制御
 構築したモデルに基づく問題解決は,望ましい出力や状態を実現するために必要な入力を求める(逆問題を解く)ことに他ならない。しかし,対象の複雑さや外乱の存在により,どのようなモデルも誤差を持つことは避けられず,問題解決のためにはフィードバック制御が必要がある。このフィードバック制御の基礎と特徴,解析方法等について講述する。さらに,フィードバック制御との関連に着目して,継続的な改善活動を支えるPDCAサイクルについて解説する。

【第13~14回】 問題解決
 現実の問題解決に際しては,様々な制約条件の下,複数の評価指標を考慮しつつ,最も良い解が何であるかを総合的に判断する必要がある。このような複雑な最適化問題を解くことを念頭に,問題を定式化する方法および最適化問題を解く方法について講述する。
 さらに,現実に意思決定や問題解決が求められる場面では,必ずしも適切に定式化された最適化問題が解かれるわけではない。組織や構成員が陥りやすい罠であるCapability Trap等を取り上げながら,留意すべき課題について述べる。

【第15回】 結
 講義全体の総括を行うと共に,いくつかの話題を提供する。
成績評価の方法・観点及び達成度 期末レポート試験(60%)と平常点(40%)により評価する。なお,平常点には,講義への積極性や講義時に課すレポートの評価を含む。
履修要件 特になし
授業外学習(予習・復習)等 新しい概念や方法を修得するために,講義時にレポート課題を出すので,指示に従って提出する.
教科書
  • 必要に応じて資料を配付する。