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現在位置: ホーム ja シラバス(2020年度) 公共政策大学院 事例研究 CS 現代政策と公共哲学

CS 現代政策と公共哲学

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科目ナンバリング
  • P-GOV01 66250 SJ45
開講年度・開講期 2020・前期
単位数 2 単位
授業形態 演習
配当学年 1・2回生
対象学生 大学院生
使用言語 日本語
曜時限 木2
教員
  • 嶋田 博子(公共政策大学院 教授)
授業の概要・目的 行政はサービスとしてとらえられがちであるが、公権力の独占的行使という本質を有している。特に、日常的な政策の多くが利益の配分よりも負担の強制という側面を持つ現代では、その政策判断を正当化する拠り所が必要となるが、民主主義国家においては民意(≒選挙・議会における多数決)が価値判断の物差しとされるのが基本である。
ただ、歴史上、多数が熱烈に支持した政策が国や人に災厄をもたらした事例も少なくないことに照らせば、政治を支える職業公務員は、その時々の多数決では反映されない価値をすくい取る責務も担う。とりわけ何かを守るために別のものを犠牲にせざるを得ないディレンマを包む政策に携わる場合には、後世の審判を受ける覚悟が必要となる。
本授業では、そうしたディレンマを伴う実際の政策を取り上げた上で、歴史の教訓や政治思想からの学びに照らしてより良い判断があり得たのかを考える。自分が当事者であってもその理想どおりに行動できるのかという観点から発表・討議を行う。
到達目標 (1) 公権力にまつわる近現代の名著のエッセンスを理解し、その示唆を現代の具体的事例に照らして解釈できるようになる。(※自らの悩みへの支えを求める読み方は、教養として読むだけでは見落とす示唆に気づける利点があるが、「時代の文脈や思想家の本来的意図の軽視につながり邪道」という批判もあり得ることに留意。)
(2) 様々な思想家の示唆や歴史の教訓を元に、自分なりの一貫した倫理的判断の基軸を形成する。
(3) 政策に携わる際にどうすれば(2)が貫けるのか、当事者意識を持って考える。
授業計画と内容 二つの大テーマにつき、着眼すべき点や参照文献を講師から紹介した後、各人が担当する主要思想家を選択。最初のチームが大テーマに沿った近年の主要政策課題を選んで個人発表を行い、クラスで討議する。経緯や最新情勢の把握と課題解決に向けた提言を行う側に対し、もう一方のチームが思想家の警告や歴史的教訓に基づき建設的に批判する形式をとる。次の大テーマで役割交代。
相手をやりこめるディベートではなく、対話・相互理解の場となることを期待する。

1 序論① 趣旨と個別課題研究の進め方の説明、思想家の割り当て
2 序論② 公共政策における歴史的・倫理的考察の意義
 (価値相対主義・多元主義、自己責任の罠、「行政の無謬」、専門知の限界、民主主義の本質、政府の失敗・市場の失敗、「悪の凡庸さ」、二つのディストピア)

3~8 個別発表 テーマⅠ: 政府が「幸せづくり」をするのか
 (政策例:少子化対策、格差・貧困対策、健康増進策、不登校対策)
 批判側:バーリン、ロールズ、ハイエク、ノージック、サンデル等

9~13 個別発表 テーマⅡ:誰の「安心・安全」を守るのか
 (政策例:伝染病者等の隔離、入国管理、テロ対策、ヘイトスピーチ規制)
 批判側:カント、アーレント、シュミット、フーコー、ハーバマス等

14 振り返り討議 歴史の教訓や賢人の警告を今後の政策にどう生かすべきか
15 フィードバック(方法は授業中に説明する。)

上記に掲げた政策は例示であり、各人の関心、社会情勢の変化を踏まえて適宜変更する。
成績評価の方法・観点 担当分の発表内容(40)と、割り当てられた思想家の立場からの毎回の討議への貢献度(60)とで総合評価する。
履修要件 憲法の事前履修が必要。未修者は要相談。
併せて、公共哲学または現代政治思想の事前履修が望ましいが、未履修の場合は開講前に指定書を読んでおくこと。
人数上限あり。チーム分けのため、初回に欠席した場合は履修不可。
授業外学習(予習・復習)等 担当分の発表のほか、毎回、担当する思想家になり切った上での他の者の発表に対する建設的批判を求める。もとより正解などないが、その場での思いつきでの議論にならないよう、参考文献を読み込む予習は必須。
国内外の政治や社会のニュースに目を配り、身近な家族や友人のことだけでなく、遠い他者の痛みに対する想像力、共感力を高めることも心がけてほしい。
教科書
  • 講師作成のレジュメと参考資料を配付する。 公共哲学・現代政治思想の未履修者の指定書は下記2冊。既修者にも一読を勧める。 ・宇野重規『西洋政治思想史』中の第5章~結章 (有斐閣) ・川崎修・杉田敦編『新版・現代政治理論』(有斐閣)
参考書等
  • レジュメでは各名著の抜粋しか紹介できないが、琴線に触れたものがあれば全体を通読して、生涯の伴走者となる著作に出逢ってほしい。 なお、行政官志望者は、特に下記の本に目を通すことを勧める。 ・H.アーレント『全体主義の起原1~3』 (みすず書房) ・C.シュミット『政治的なものの概念』 (未來社) ・J.M.ケインズ『講和の経済的帰結』 (ぺりかん社)(原文はネットで読める)