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現代社会と地域研究I

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科目ナンバリング
  • G-AAA01 51310 LJ31
開講年度・開講期 2020・後期
単位数 2 単位
配当学年 1,2回生
対象学生 大学院生
使用言語 日本語
曜時限 水1
教員
  • 未定
授業の概要・目的  本授業では、「文化人類学と地域研究:私自身の試行錯誤から」というテーマで開講します。
 1970年代の前半に、私が学部専攻科目として文化人類学を学び始めてから、今までの40年ほどのあいだに、人類学の理論と民族誌の書き方に関して、さまざまな試みがなされてきました。そうした時代の「流行」の影響を直接間接に受けながら、調査・研究を続けてきた私自身のスタイルの変化について、4冊の拙著を取り上げて、その舞台裏を紹介しつつ、「メイキング文化人類学(者)」(人類学者になる、人類学をする)のプロセスについて講義します

 ただし、受講生の興味関心によって、コースの内容が大幅に変わる可能性があります。昨年度(2014年度)は、初回の受講生が留学生であったために、当初のシラバスを変更し、各自の英語による報告とディスカッションのゼミとしました。
 
到達目標  人類学の主要な理論・アプローチ法(機能主義、構造機能主義、構造主義、相対主義、象徴と解釈アプローチ、ポスト・コロニアル理論など)の概要を理解する。そのうえで、フィールド・ワークから博士論文・民族誌の作成に至るまでの登山道の歩き方について説明する。
授業計画と内容  以下のトピックを取り上げる予定です。各トピックごとに、関連する話題を含めて、2または3回づつの予定で講義します。

1.今、考えていること:災害に立ち向かう地域研究、あるいは応答する人類学(anthropology of response-bility)の試み。
  清水2014「応答する人類学」山下晋司(編)『公共人類学』東京大学出版会、 pp.19-36。
  清水2009「災害に立ち向かう地域/研究:生存基盤持続型の発展に向けた再想像=創造のための素描」Kyoto Working Papers on Area Studies No.79 (G-COE Series 77) pp.20
山本博之2012「新しい地域研究をめざして」『地域研究』Vl.12, No.2(総特集:地域研究方法論)、pp.6-37

 ー地域研究とは何かについて、いかに進めるかについて私見を述べる。

2.地域研究の日米比較:石井米雄とベネディクト・アンダーソン
 石井米雄2003『道は開ける:タイ研究50年』めこん。
   ベネディクト・アンダーソン 2009 『ヤシガラ椀の外へ』NTT出版。

 ー両国を代表する研究者のスタイルの違いと、その由来について考える。

3.清水展1990『出来事の民族誌:フィリピン・ネグリート社会の変化と持続』九州大学出版会。
  SHIMIZU, Hiromu, 1989, Pinatubo Aytas: Continuity and Change, Quezon City: Ateneo de Manila University Press.

 -構造機能主義の静態的な社会像への反発と、動態的アプローチの企て。 


4.清水展 1991『文化のなかの政治:フィリピン"二月革命"の物語』弘文堂 1991。

 -クリフォード・ギアツの解釈人類学(意味の政治の議論)に影響されながら、政治学のアリーナへ乱入。非武装の市民蜂起による現代革命のやり方、ポピュリズムの政治の実相などにおいて、フィリピンは「1周遅れのトップランナーだ!」という間接的な主張。

5.清水展 2003 『噴火のこだま:ピナトゥボ・アエタの被災と新生をめぐる文化・開発・NGO』 九州大学出版会。
  SHIMIZU Hiromu, 2001, The Orphans of Pinatubo: Ayta Struggle for Existence, Manila: Solidaridad Publishing House,

 -オリエンタリズム、ポストコロニアリズム、他者表象の問題、「ライティング・カルチャー・ショック」など、文芸理論の影響を受けて先鋭化した文化人類学についてゆけず、フィールドでの生身の体験にこだわり続けて文化人類学をしようと開き直った仕事。「応答する人類学」を提唱する。


*受講生の研究予定の地域とテーマによって、柔軟に改訂することがあります。
成績評価の方法・観点 1. 平常点(出席回数、議論への参加、報告)。
2. 出席回数が2/3に満たない場合には、単位を取得できないことがあります。
履修要件 1.講義で取り上げる日本語の図書は事前に読了しておくこと。
2.朝1限の講義なので、遅刻をしないこと。
授業外学習(予習・復習)等  全体の参考図書として、太田好信・浜本満『メイキング文化人類学』(世界思想社)(2005)を読了しておくこと。
 また、拙著4冊も事前に一読しておくことが望ましい。