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現在位置: ホーム ja シラバス(2020年度) 文学研究科 日本語授業 7431008地理学(特殊講義)

7431008地理学(特殊講義)

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科目ナンバリング
  • G-LET31 67431 LJ39
開講年度・開講期 2020・前期集中
単位数 2 単位
授業形態 特殊講義
対象学生 大学院生
使用言語 日本語
曜時限 集中
教員
  • 松四 雄騎(防災研究所 准教授)
授業の概要・目的 本授業では,自然地理学の応用としての自然災害(特に斜面災害)の被害軽減(減災)に関する方法論を学び,その実現に向けた基礎データを取得するための野外調査法および室内実験法を実習する.

山地や丘陵地が国土の大半を占める日本列島では,豪雨や地震によってしばしば斜面から土砂が流出し,下流域に被害を及ぼす.土砂災害による人的・物的被害は,高度経済成長期以降の砂防・治山事業の拡充による人工構造物の配備により,それ以前と比べて格段に減少してきたが,近年,極端な豪雨の頻度増大により,再び増加しつつある.日本人はそもそも,居住域に隣接する傾斜地(里山)で得られる燃料や湧水といった資源を利用し,その恩恵を受けてきたが,それと同時に斜面の崩壊や地すべり,土石流といった斜面災害の脅威にもさらされてきた.地域に根差した住民が斜面と共生していた時代に培われていた減災のための知恵は,傾斜地での道路敷設や宅地開発といった自然環境の改変行為を可能にした現代的な土木技術の発達と,それによる山際居住区の拡大と新規住民の移入とともに,失われつつある.居住域周辺斜面からの土砂流出による被害を軽減するためには,空間的に飽和し,コスト的にも限界に達しつつあるハード対策だけでなく,住民自力での警戒・避難を促すソフト対策の高度化が不可欠である.そのためには地域の地理環境の成り立ちを深く理解し,それを土台に世代を超えて持続可能な減災方策を備えた地域社会の形成をめざす必要がある.これはまさに自然地理学の応用問題であるといえよう.本授業では,斜面災害の地質・地形的背景(素因)や,降水浸透あるいは地震動といった引き金(誘因)が,なぜ・どのようにして土砂流出を引き起こすのかについて,野外実習と室内実験を通して,自ら地盤構成材料に触れ,その物性を定量的に把握し,データの解析を行うことで体験的に学ぶ.
到達目標 実習形式の授業を通して,温暖湿潤帯における自然地理環境とそこで起こる地球表層プロセスを概観し,山地の斜面をつくる地盤材料の定性的な観察法,およびその水理学・土質力学的性質の定量化法を学び,斜面減災を実現するための自然地理学的方法論について考察できる力を養う.
授業計画と内容 夏季の集中講義とし,野外および室内での実習形式での授業を行う.
日程は9月中の連続した3日間を設定する.

授業のスケジュールおよびその中で取り上げるテーマとトピックスは以下の通り.
9月8日(火)森林斜面での野外実習(京都近郊丘陵地)
9月9日(水)実験室での土質試験(宇治キャンパス)
9月10日(木)データ解析およびゼミ(宇治キャンパス)

1日目: 野外巡検
京都近郊の丘陵地を対象に,地盤の構成物とその性質および陸域水循環に伴う地形変化過程について概説する.また,過去に発生した斜面崩壊跡地を観察し,森林土壌の断面を作成して,土層試料の採集を行う.

2日目: 室内実験 + データ解析
採集した試料を用いて,宇治キャンパスにおいて水理・力学的な試験を行う.

3日目: 室内実験 + データ解析 + ゼミ
宇治キャンパスにおいて引き続き実験を行うとともに,得られたデータを用いて,雨の浸透や斜面の安定に関する計算を行い,斜面ハザード評価の方法論について討論する.

テーマとトピックス
(1) 自然地理学における野外観察の基礎と方法
(2) フィールドサイエンスにおける理論・法則・モデルの役割
(3) 人間社会を取り巻く自然環境の成り立ち
(4) 陸域水循環の概要と流域生態系の恒常性
(5) 森林水文学の基礎と山地流域における降雨流出過程
(6) 斜面の地形変化と土砂災害の発生メカニズム
(7) 地理的な防災・減災の方法論
(8) 自然地理学における実験法とデータ分析法の基礎
(9) 地盤構成材料の水理・力学特性とその意味
(10) 地理情報システムと地形計測
(11) 地図解析および実験・計測における精度と確度
(12) データの整理と統計処理の基礎
(13) 流域表層現象のモデル化と計算法
(14) 製図法とアカデミックライティングの基礎
(15) 総括とフィードバック

授業を通じて,野外観察の方法,実験による定量データの取得方法,自然現象のモデル化について習得するとともにフィールドノートや実験ノートの記載方法,データの整理方法,製図や記述の方法等のアカデミックライティングについて具体的に指導する.
フィードバックについては,実習終了後に必要に応じて,教員オフィスあるいはEメールにて質問に答えるほか,レポートに講評を記入することも含む.
成績評価の方法・観点 平常点(50%)およびレポート(50%)の評価による.
履修要件 学生教育研究災害傷害保険等の傷害保険に加入していること.
授業外学習(予習・復習)等 3日間の授業期間中にはデータ解析や討論準備を課題として出すので,ホームワークとしてこなすこと.
参考書等
  • 関連する論文等を授業の中で配布・紹介する.