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現在位置: ホーム ja シラバス(2020年度) 文学研究科 日本語授業 5551001宗教学(講読)

5551001宗教学(講読)

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科目ナンバリング
  • G-LET07 75551 LJ34
開講年度・開講期 2020・前期
単位数 2 単位
授業形態 講読
対象学生 大学院生
使用言語 日本語
曜時限 木3
教員
  • 下田 和宣(非常勤講師)
授業の概要・目的  文化的多様性が叫ばれる今日において広く認識が共有されつつあるように、世界は「東洋」と「西洋」に二分されるわけではない。にもかかわらずこれまで、この非常に極端で実際には非対称的ですらある地理的メタファーの対比を通じた相互の性格限定は、学問的諸制度はおろか、クリティカルで根源的な思索においても支配的であったと言えよう。あるいはそれのみならず、今日のわたしたちの思考にとっても――ヨーロッパの歴史において形成された「東洋」表象が学問的言説によって強化され、植民地主義を促進する根拠を提供してきた、という「オリエンタリズム」の告発(サイード)を経由したわたしたちにとっても――そのモデルはしばしば暗黙の背景としてなお作用しているのではないだろうか。
 果たしてわたしたちは「東洋」(ないし「西洋」)によって何を語ろうと欲し、何を期待するのだろうか。この問いをより精緻なものとするためにはまず、東洋/西洋を対として形成・強化してきた諸々のコンテクストを紐解き、その歴史的現場へと改めて赴くことが重要だろう。この授業ではそのような意味形成の特異な編み目のひとつとして「エラノス会議」を取り上げたい。「エラノス会議」とは、スイス・アスコナに招かれた神話・宗教・哲学に関するスペシャリストたちによる国際的な学術討議のことである。1933年の設立以来、ユング、ルドルフ・オットー、エリアーデ、ショーレム、キャンベル、ティリッヒ、ブーバーなど、日本からも鈴木大拙、井筒俊彦、上田閑照、河合隼雄らが参加し、人間的根源へと迫る議論を行った(現在もなおその名を冠した集まりは残っている)。錚々たる思想家・研究者たちを単純に統一する実体として「エラノス精神」なるものを考えることはできないし、広大なエラノス的空間のすべてを渉猟することは非常に困難である。それでもいくつかの講演録を中心に諸々のテクストを読み合わせることで、この稀有な討議的共同体が何を生み出したのか、彼らを「東洋」への希求へと導いたものが何であったのかという諸問題に迫りたい。
到達目標 ・宗教哲学に関する文献を原文(英語)で精確に読解できるようになる。
・諸々の神話・宗教に関する専門的な研究内容を理解できるようになる。
・「エラノス会議」の持つ学術的ネットワークを紐解くことで、20世紀における神話・宗教研究の潮流を俯瞰する。
・「東洋/西洋」に対する批判的な見方を養いながら、単純な批判に終始することなく、各思想家の主張をコンテクストに位置づけることで解釈できるようになる。
授業計画と内容 前期では主に次のふたつの文献(エラノス会議での講演録)を読解する。まず「エラノス会議」の成立とその精神についての素描であるルドルフ・リッツェマの講演を扱い、会議全体の概観を得る。それから河合隼雄の日本神話に関する講演を検討する。「エラノス会議」の方向性を定めたのは精神分析学者のユングであった。河合はユング派の流れをくむ研究者であるので、会議の持つ独特の雰囲気を知るためにもその講演は有効な手がかりとなるだろう。

第1回 イントロダクション
「エラノス会議」について簡単に紹介。授業の進め方、および扱うテキストについて説明し、訳読の割り当てを決める。

第2~5回 ルドルフ・リッツェマ「エラノスの諸起源と作品――第55回会議に際しての考察」(1987年)を読む

第6~14回 河合隼雄「日本神話における隠れされた神々」(1985年)を読む

第15回 フィードバック
全体を振り返り、残された課題や問題点などについてまとめ、議論する。
成績評価の方法・観点 平常点(出席・担当)、および補足的な発表で評価する。
履修要件 特になし
授業外学習(予習・復習)等 毎回、指定された範囲を前もって読んでおくこと。訳読担当者は訳稿および担当箇所の要約を作成すること。
教科書
  • 授業中にテキストのコピーを配布する。 Rudolf Ritsema, The Origins and Opus of Eranos: Reflections at the 55th Conference, in: Eranos Yearbook 56/1987, vii-xlvii Hayao Kawai, The Hidden Gods in Japanese Mythology, in: Eranos Yearbook 54/1985, 397-426
参考書等
  • エラノス叢書別巻 エラノスへの招待, M・グリーン他, (平凡社),
  • ボーリンゲン:過去を集める冒険, ウィリアム・マガイアー, (白水社),
  • 日本神話と心の構造, 河合隼雄, (岩波書店),
関連URL
  • http://www.eranosfoundation.org/page.php?page=11&pagename=lecturers