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現在位置: ホーム ja シラバス(2020年度) 文学研究科 日本語授業 3631010フランス語学フランス文学(特殊講義)

3631010フランス語学フランス文学(特殊講義)

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科目ナンバリング
  • G-LET21 63631 LJ36
開講年度・開講期 2020・後期
単位数 2 単位
授業形態 特殊講義
対象学生 大学院生
使用言語 日本語
曜時限 金2
教員
  • 森本 淳生(人文科学研究所 准教授)
授業の概要・目的  昨年度につづき、現代フランスを代表する哲学者ジャック・ランシエールの『文学の政治学Politique de la littérature』(2007)を精読する。本書は独立した論文をまとめたものであり、本年度は昨年度とは別の論文を読む。昨年度に受講していなくてもまったく問題はない。
 ランシエールは、19世紀以降の近代文学を特徴づけるために、それ以前の古典主義的詩学について語っている。すなわち、アリストテレスの詩学に大きく規定された古典主義的文芸は、次の四つの原理によって成立していたという。第一に、フィクションないし模倣の原理。文学は言語的特性によってではなく、ある物語を模倣することにおいて成立する。第二、ジャンルの原理。ジャンルと、その表象する対象の性質とは一致しなければならない(例えば、描かれているのが偉人か普通の人かで悲劇と喜劇が区別される、など)。第三、適切さ(convenance)の原理。登場人物はそれにふさわしい行為と調子を持っていなくてはならない。そして最後に現動性(actualité)の原理。古典主義文学でもっとも重要なのは行為化された言葉、実践された言語であり、話し方の技術である。19世紀以降の近代文学はこの4つの原理をすべて転覆させた、というのがランシエールの見立てである。フィクションの原理は言語の優位によって、ジャンルの原理はすべての主題の平等性によって、適切さの原理は描かれる対象と文体との乖離によって、行為的言語の原理はエクリチュールの優位によって。近代文学では誰もが作家になりえるし、誰もが読者になりえる。このとき言葉は、古典主義に特徴的であった確固とした宛先を失い、「沈黙した言葉」、「彷徨する文字(手紙)」と化す。そして、文学の生産者と受容者が匿名化し任意の存在になるのと同時に、主題を秩序づけていたヒエラルキーも解体され平準化される。つまり、あらゆることが主題となりえ、特定の表現手段が特権化されることもない。ひとことで言えば、近代のエクリチュールは「民主化」されたのである。
 ランシエールの言う文学と政治の問題は、作家の政治参加(アンガジュマン)を指すわけでもないし、作品において社会組織や政治運動がどのように表象されているかといった問題でもない。彼自身の定式化によれば、「文学は文学として政治に携わる」。ここで言われる政治は、いわゆる「感覚的なものの分割(パルタージュ)」と呼ばれるものにかかわる。政治とは、何が共同のものなのか、共同のものについて語りうるのは誰か(そして誰が語りえないのか)、その境界を別つ分割をめぐって行われる。ランシエールが「文学の政治」というときに意味しているのは、文学は、このようにして引かれるさまざまな分割線を攪乱するように介入するのだ、ということである。つまり、さまざまな領域に分割され配分された存在・行為・言語のおりなす諸関係を再編する作用を、文学のうちに見るわけである。
 授業では、マラルメ論「闖入者──マラルメの政治」、「窓を通して見る真理──文学の真理、フロイトの真理」を読む。またマラルメ論の前提として、マラルメのテクストも講読する。
到達目標 ・フランス語文法の諸項目に習熟し、それを実際の読解において使いこなせるようになる。
・複雑な構文、豊富な語彙をもつ思想的テクストをある程度のスピードと正確さで読みこなせるようになる。
・文章の細部の読解と全体的な理解とを有機的に結びつけ、立体的に読むことができるようになる。
授業計画と内容 第1回 イントロダクション:授業の概要と進め方
第2回~第5回 La vérité par la fenÊtre. Vérité littéraire, vérité freudienne (p. 169-188)
第6回~第9回 Mallarmé, Confrontation/Conflit
第10回~第13回 L'instrus : Politique de Mallarmé (p 93-112)
第14回 試験
第15回 まとめ
成績評価の方法・観点 平常点50%、期末試験50%
履修要件 フランス語文法の概要を習得し一定の読解力を持っていること。
授業外学習(予習・復習)等 担当者以外も必ず予習をして授業に臨んでください。「読み合わせ」の機会は外国語の読解力を獲得するうえできわめて重要です。予習をするなかで自分なりに問題点を洗い出し、「ひとりでも読んで・調べて分かること」「ひとりでは分からないこと」を自覚できるようになることは、狭義の文学研究でも広く役に立つはずです。
教科書
  • Politique de la littérature, Jacques RanciÈre, (Galilée), ISBN:9782718607351