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現在位置: ホーム ja シラバス(2020年度) 文学研究科 日本語授業 3631007フランス語学フランス文学(特殊講義)

3631007フランス語学フランス文学(特殊講義)

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科目ナンバリング
  • G-LET21 63631 LJ36
開講年度・開講期 2020・前期
単位数 2 単位
授業形態 特殊講義
対象学生 大学院生
使用言語 日本語
曜時限 金2
教員
  • 森本 淳生(人文科学研究所 准教授)
授業の概要・目的  この講義では、農民出身で印刷工の修行を積んだのちに作家となったレチフ・ド・ラ・ブルトンヌ(1734-1806)を中軸にすえて、文学とモデルニテの関係を再考することを目的とする。レチフはルソーの『告白』に張り合うようにして自伝作品『ムッシュー・ニコラ』を執筆した。ルソー的な誠実で網羅的な真実の語りを前面に押し出すこの作品は、しかし事実だけでなくフィクションも含む。1775年の出世作『堕落農民』が典型的に示しているように、レチフは自分の半生を素材としつつもそれを自在に「変奏」することで作品を書いていた。こうした「自伝とフィクションの混淆」はこの多作の売文家のデタラメなのか、それともそこにはなんらかの意義があるのだろうか──これが基本的な問題関心である。
 まず、『堕落農民』で一定の評価を得る直前の作品『新・一貴族の回想録』があからさまにタイトルを借用しているプレヴォーの一人称小説『一貴族の回想録』を取りあげる。この作品の最終部が有名な『騎士デ・グリューとマノン・レスコーの物語』である。翻訳を併用してこのフランス文学の代表作を講読する。
 レチフが書簡体小説『堕落農民』を書いたとき、先行作品としてマリヴォーの『成り上がり農民』や『マリアンヌの生涯』、ムーイの『成り上がり農民娘』、マリー=アンヌ・ロベールの『哲学者農民娘』等の「農民物」の回想録小説がすでに存在していた。レチフは「成り上がり」という社会上昇と有徳性のテーマを「堕落」へと反転させ、上昇の不可能性と悪徳のテーマを前景化させたが、なによりも先行作品の著者たちとは異なり、彼自身が農民出身であったために、すでに豊かな作例を持っていた農民物というジャンルと彼自身の人生とを直接的に結びつけることができた。レチフはこうして自己の人生を出発点としながら(自伝性)、それを既存の文学ジャンルが開いた様々な物語にならって「変奏=フィクション化」することができたのである。
 講義では以上のような「一人称小説」や「回想録小説」、「農民物」の諸作品を実際に繙きながら、18世紀フランス文学の系譜のなかにレチフを位置づけ、そのことで19世紀以降の文学的モデルニテがどのように生成したのかを考えてみたい。
到達目標 ・フランス文学の代表的作品を熟読し、その世界に親しむ。
・フランス文学史(とくに18世紀)について一定の知見を獲得する。
・フランス文学の具体的な研究のあり方について理解を得る。
授業計画と内容 第1回~第2回 イントロダクション
第3回 一人称小説/回想録小説とレチフ
第4回~第6回 『マノン・レスコー』:翻訳による輪読と原文精読
第7回~第14回 社会上昇と堕落──レチフと「農民物」の系譜
第15回 まとめ
成績評価の方法・観点 平常点50%、レポート50%
履修要件 『マノン・レスコー』(第4回~第6回のうち3時間程度)はフランス語テクストの講読を行いますが、それ以外はフランス語は必ずしも前提としません。フランス語の知識がない受講生は上記講読を翻訳だけで参加するのでも構いません。
授業外学習(予習・復習)等 指示された予習はきちんと行って下さい。
教科書
  • マノン・レスコー, プレヴォ(野崎歓訳), (光文社), ISBN:978-4334753665
  • Histoire du chevalier des Grieux et de Manon Lescaut, Prévost, (GF Flammarion), ISBN:978-2081279049