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現在位置: ホーム ja シラバス(2020年度) 工学部 物理工学科 材料統計物理学(材)

材料統計物理学(材)

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科目ナンバリング
  • U-ENG25 25134 LJ75
開講年度・開講期 2020・後期
単位数 2 単位
授業形態 講義
対象学生 学部生
使用言語 日本語
曜時限 火2
教員
  • 田畑 吉計(工学研究科 准教授)
  • 弓削 是貴(工学研究科 准教授)
授業の概要・目的 物理や化学の様々な現象に深い関わりをもつ熱・統計力学の基本的な考え方を説明し,物質科学において果たす役割,適用例について述べる.具体的には,なるべく公式を覚えないですむ論理的な熱力学関係式の導出をを行い,次いで,統計熱力学と熱力学との関連性を理解し,ミクロカノニカル法とカノニカル法の習得を重点的に目指す.
到達目標 熱力学の初歩(熱力学関数の導出)から統計熱力学の基礎(分配関数の計算や自由エネルギー)を学び,物質における統計物理学的な諸問題が解けるようになることが目標である.
授業計画と内容 熱力学第一・第二法則、不可逆過程(2回)
熱平衡と温度,完全微分性と状態量,状態方程式等,熱力学で扱う対象の特徴について説明する.また,熱と仕事,エネルギー保存則としての熱力学第一法則について述べる.可逆機関カルノーサイクルからエントロピーという熱力学量を導く.また,熱力学第二法則の意味,エントロピー,熱力学的絶対温度について述べる.また,エントロピー増大の原理,自然界の方向性について述べる.

熱力学関数、相平衡・相転移(2回)
ルジャンドル変換を通じて種々の熱力学関数を導入し,それらの諸関係,適用例について述べる.PV項のみならず,一般の外場変数(外部磁場や外部応力場など)を導入し,普遍的な熱力学関数を習得する.各種拘束条件における熱力学的な相平衡条件の導出や相転移の現象論を述べる.

解析力学、統計力学の概念(3回)
巨視的な情報で系の状態を記述する熱力学から、微視的な情報で系を記述する統計力学へ橋渡しをするための解析力学の基礎を学ぶ.まずニュートンの運動方程式から出発して,座標に依存しない運動方程式としてオイラー・ラグランジュ方程式を導き,時空間の対称性と保存量(ハミルトニアンなど)の関係を説明する.そこからルジャンドル変換を通して正準方程式を導き,一般化座標と一般化運動量,多粒子系の運動を記述する位相空間の概念を説明する.位相空間上での流体の方程式を導き,統計力学につながる力学系の時間発展に関する普遍性を学ぶ.調和振動子モデルを用いて作用を量子化し,位相空間を離散化することで統計力学で重要な概念となる微視的状態を説明する.そしてボルツマンの式の意味を説明し,エントロピーが微視的状態数で決まることを学ぶ.

統計力学の基礎(2回)
ここでは、力学の諸法則に従う無数の微視的粒子によって構成された巨視的な系が熱力学に従うことを導く統計力学の枠組みを学ぶ。統計力学の基本的な戦略として、取り得る(微視的に見て異なる)無数の力学状態の出現を確率的に取り扱う。その上で、体積など巨視的な系の物理量が考えられた確率分布の平均値として与えられること、(系が巨視的であることに由来する)大数の法則によって巨視的な物理量のゆらぎは小さく確定的に求められことを学ぶ。巨視的系の熱力学的振舞を再現する確率分布として、熱平衡状態の”典型性”を出発点に、エネルギーが等しい力学状態は全て等しい確率で出現する、いわゆる「等重率の原理」を要請し、平衡状態(U,V,N)を記述するための確率分布「ミクロカノニカル分布」を導出する。次に、熱浴に接した系を考えることで平衡状態(T,V,N)を記述する「カノニカル分布」を、熱粒子浴と接する系を考えることで平衡状態(T,V,μ)を記述する「グランドカノニカル分布」を導出する。さらに、各確率分布の等価生を、各確率分布から得られる熱力学ポテンシャルがルジャンドル変換でつながっていることで確かめる。

古典系の統計力学(3回)
ここでは、微視的粒子が古典力学に従ういくつかのモデルに対し、先に学んだミクロカノニカル、カノニカル、グランドカノニカルの方法を適用して、その熱力学的振舞を統計力学的に導出する。相互作用しない自由に運動する粒子で構成された系を扱うことで「理想気体の状態方程式」が導かれることを見る。それ以外にも、古典調和振動子系、 二準位系とその応用例、などを取り扱う。

量子系の統計力学(2回)
ここでは、量子力学に従う自由粒子系「理想量子気体」の問題を取り扱う。まず、量子力学の基本概念について簡単に学び、多粒子系の波動関数がもつ一般的な性質を議論し、粒子の交換に対し対称な粒子(ボーズ粒子)と反対称な粒子(フェルミ粒子)があることを学ぶ。この対称性の違いにより、熱平衡状態での統計性が異なること(ボーズ・アインシュタイン分布とフェルミ・ディラック分布)をグランドカノニカルの方法を使って一般的に導出する。それらを使って、理想ボーズ気体、理想フェルミ気体が示す熱力学的振舞、特に量子統計性が顕著となる低温高密度での振舞について議論する。

学習到達度の確認(1回)
演習問題などを解くことによって,熱力学関係式などの導出,統計物理学における各種分布関数の導出などを復習し,学習到達度の確認を行う.
成績評価の方法・観点 基本的に試験(期末試験,場合によっては中間試験も行う場合がある)の点数で評価するが,講義中に随時課すレポートなども考慮する.試験とレポートの割合は7:3を基準として評価する.
履修要件 特に必要としない
授業外学習(予習・復習)等 復習課題としてレポートを随時課す。配布したプリントの内容を事前に予習しておくこと。
教科書
  • 講義中に配布するプリント
参考書等
  • 砂川重信:熱・統計力学の考え方(岩波書店・1993年) isbn{4000078933} 長岡洋介:岩波基礎物理シリーズ・統計力学(岩波書店・1994年) isbn{9784000079273}