第32回 京都大学品川セミナー「体のなかにある分子コンビナート」

体のなかにある分子コンビナート 森井 孝(エネルギー理工学研究所 教授)

私たちは石油などの化石資源から、化学コンビナートを使って現代社会を支えるガソリン、エチレンなどを製造しています。では、私たち人間、そして生物は、どうやってエネルギーを得て、そして体を支える物質を手に入れているのでしょうか。細胞の中では数多くの化学反応が同時に、しかも効率よく進行しています。そのために、細胞の中にも化学反応を進行させる装置(酵素)や分子を捕まえる装置(受容体)がナノメートルの正確さで決まった場所に設置された「分子コンビナート」が存在して、効率よく間違いのないように物質を生産・輸送しています。また、細胞内の「分子コンビナート」では、水の中で何段階もの反応が効率よく、同じ容器のなかで同時に進行します。これはまさに低エネルギー・低環境負荷社会で人類が実現するべきエネルギー利用術の特徴といえるでしょう。

最近、分子で作ったオリガミを使って、異なる酵素を1分子ずつナノメートルの精度で決まった場所に配置する方法が開発されました。本セミナーでは、細胞の外での「分子コンビナート」の実現にむけた最近の研究成果について紹介します。

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