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第5回「京大おもろトーク: アートな京大を目指して」〜顔
2016年7月25日(月)

パネリスト:金剛 永謹氏(能楽 金剛流二十六世宗家)(以降敬称略、金剛)
牧野 圭一氏(漫画家・公益社団法人日本漫画家協会理事)(以降敬称略、牧野)
山極 壽一氏(京都大学総長)(以降敬称略、山極)
川嶋 宏彰氏(京都大学情報学研究科准教授)(以降敬称略、川嶋)
司会:土佐 尚子氏(高等教育研究開発推進センター教授)(以降敬称略、土佐)
土佐
皆さん時間になりました。今回では第5回目ということで、今年になって初めてのおもろトークでございます。新たにまた変わった趣で始めたいと思います。
私は京都大学等教育研究開発推進センターの土佐でございます。司会等々進めさせていただきますのでよろしくお願い致します。
それではですね、まず最初に本学総長の山極壽一先生からご挨拶の言葉をいただきたいと思います。
山極
皆さんこんばんは。山極でございます。私ゴリラの研究者なんですよ。こういう。
山極総長
(山極先生、ゴリラのお面を被る)
山極
実は猿学って言いますかね、霊長類学というのは、京都大学発の学問でございます。なんでこれ世界的に広がったかというと、我々霊長類学者はサルの顔を一つずつ覚える、これ個体識別っていうんですが、それを始めたわけですよ。今西錦司先生という偉い先生がいらっしゃってですね、お前らサルになってこい、と言ったわけです。で、サルの群れのなかに入って、一生懸命顔を覚えて、一頭一頭に名前をつけて、はいなんとかさんがこうした、なんとかさんがああした、番号じゃなくて、名前をつけたサルがどういう行動をしたかを逐一記録をしていってサルの生活の記録をまとめて、「ああ、サルの社会はこうなってるんです」っていうことをやった、これを学問にしたわけです。
その時に、実は、私もそういうことをしてニホンザルと、このゴリラを覚えたわけですけど、個体識別をどうしたか。顔で覚えたんですよね。つくづく今回「顔」という題名でシンポジウムをやることになってそのことを思い出したら、顔で仲間を識別してるのは人間だけじゃないかと思いまして。サルって顔で覚えてないんですよ。後ろ姿をみたらわかりますから。あるいは犬や、猫だったりは匂いを嗅いだだけでわかりますから。しかも、彼らの顔ってそんなに一つ一つ違うわけじゃない。鳥だってそうですね。何鳥ってわかるけど、何とかちゃんって覚えられるぐらい個体ごとに違って見えないですよね。人間というのはどこからか、進化の段階のある時点から顔ということを物凄く意識し始めた。これはね、ちょっと注目してもいい話なんじゃないかと思います。
顔を相手と向かい合わせるとなんか変な気になるんですよ。だから逆にこういう仮面というものを着ける必要が出てきたんじゃないか。つまり日常的な顔っていうものをそこから取り去って、新たな世界に入るパスポートを手に入れたというのが仮面の世界だと思います。あるいは、その顔を使って様々な世界を演じるっていうことを始めたんだと思うんですよね。しかもそれはかなり新しい時代だと思います。
でもそんなになぜ、我々は顔に注目するのか。皆さん猿の惑星という映画を見たことある方、ちょっと手をあげてください。最新の猿の惑星。ありますよね。ずっと昔に遡ってなぜ人間が絶滅して、猿の惑星になっちゃったのかっていうことをいろいろ事細かに解説している映画が最近2本出ました。あれはですね、医学実験用に飼っていたチンパンジーが突然変異をおこして、言葉を理解し、言葉を喋るようになっちゃった。それが他のチンパンジーやゴリラやオランウータンを率いて、人間に向かって自分たちの権利を訴えるようになる。そういうストーリーなんですけど、その突然変異をおこしたチンパンジー。これ、覚えてらっしゃいますか。目がね、白目なんですよ。白目があって、人間の目なんです。チンパンジーの目をよくご覧になるとおわかりになると思いますが、黒目なんですよ。全然白目がないんですよ。その目に対して我々は知性を感じないんです。ところが白目ができた途端に、つまり人間の目ができた途端に「あ、これは、言葉を喋るよな」ってすぐ思えるほど知性的に見えるんですよ。顔というのはそういうもんで、その顔の中で我々が1番注目してるのはその、白目の目の部分だと思います。
それがどういう風に、能とか漫画の世界ではつくられているのかなぁってのを私はとても楽しみで、今日のお話を聴くのをたいへん楽しみにやってまいりました。是非みさなんもこの素晴らしい登壇者にどういう風なことを言っていただけるのか、そして最後にどんな話になるのか楽しんでお聞きいただきたいと思います。
土佐
それでは今日のゲスト3名のお話をそれぞれ20分ずつお聞きしたいと思います。
最初の登壇者は能楽と能楽金剛流二十六世宗家、金剛永謹さんでございます。
1951年、二十五世宗家金剛巌さんの長男として京都に生まれて幼少よりお父様である巌さんに師事をされ、能楽金剛流二十六世宗家を継承されました。重要無形文化財、総合指定保持者でございます。「舞金剛」と呼ばれる華麗な躍動感溢れる金剛流独特の芸風に、京金剛といわれる優美で艶やかな、艶やかさが加わった芸風を特徴としてシテ方宗家のなかで、唯一関西という根拠地で活躍されておられます。それでは、宗家よろしくお願いします。