メディアアート

Kyoto Cross Media Experience 2009「ZENetic Computer ライブ」西本願寺 門法会館 土佐 尚子×近藤 等則

授業の紹介

芸術と技術の歴史は古い。
古代ギリシャにおいては、芸術と技術は一括してテクネーと呼ばれていた。テクネーとは人間の制作活動を可能にする認識能力であり、思想(ノエーシス)と制作(ポエーシス)とを統合・包括する技術である。
様々な芸術家の作品や考え方の知識修得と共に、どんな文化ができあがっていったのかということを考え、自分の思想やフィーリングをどのように認識し、メディア技術を通して表現するかという理系学生のメディアアート入門の方法を学ぶ。
教員ホームページ

 

総合大学で芸術を学ぶために 京大の芸術教育を追う(2007.11.01)

講義詳細

年度・期
2010年度・前期
開講部局名
全学共通科目
使用言語
日本語
教員/講師名
土佐 尚子(学術情報メディアセンター 教授)

シラバス

教員
土佐尚子
所属: 学術情報メディアセンター
住所: 〒606-8501 京都市左京区吉田二本松町 京都大学
職名: 教授
専門: 情報デザイン研究分野
授業の概要・目的
いつの時代も、アーティストが、時代を読むのが早い。
1920年のバウハウスのデザイン運動や1960年以降のサイエンスアートから日本文化や西洋文化の発達のエポックメイキングな出来事は、皆アーティストが作ってきた。
これからはコンピュータをインターメディアとしたインターネットや、VR、マルチメディアやユビキタス技術などの発達に伴い、工学がコンテンツや、テキストやコミュニケーションを扱うため工学系アートセンスが必要となる。本授業では、以下のテーマに関して講義や実習を行い、どのように技術を用いて芸術表現していくかということをゼミ形式のディスカッションやレポートや作品制作で自分自身の芸術表現方法を学ぶ。
授業計画と内容
次の授業の講義ノートを、OCW講義ノートページへ前の週の金曜日までにアップロードするので、授業前日までに必ず見ておくこと。

4月16日の授業では、各自コラージュを作成するため、はさみ、カッター、のり、テープを用意してください。

5人1組のグループに分かれ、デジタルムービーカメラで短編映像制作を行う
テーマ「心の描写」 時間:3分以上〜10分以内

カテゴリー:
ドラマ・MTV・映像詩・アニメーション・実験映画

担当:
演出・編集担当
シナリオ担当
役者演技担当
美術・証明担当
音効果・音楽担当

* 貸し出し提供機材:
1グループ デジタルムービーカメラ1台
ノンリニア編集ソフト(ファイナルカット
1)アート アンド テクノロジーの歴史
2)日本文化・西洋文化などの文化差と美の表現方法の違いを学ぶ
3)アーティスト研究(「知」や「技」や「気」をどのように表現しているか)
4)作品の表現技法研究(表現にあった技法の見つけ方)
*映像表現について *音楽表現について
*演劇・パフォーマンス表現について
*インスタレーション(空間設計について)
5)自分自身の感性を発見し、引き出す方法(コミュニケーション表現の深め方)
6)作品制作
7)学外見学

 

授業スケジュール

第1回 4/9 映像制作基礎
第2回 4/16 イメージ素 思考素提出先URLかわりました、確認してください。
第3回 4/23 様々な作品の紹介 イメージ素
第4回 5/7 MYマップ 個人インタビュー
第5回 5/14作品コンセプト(視点)の考え方 グループを作り作品のコンセプトを考案
第6回 5/21様々な作品の紹介しシナリオ作成技法を考える
第7回 5/28カメラワークと作品のコンテ作成技法
第8回 6/4 映像編集技法と視点の考え方
第9回 6/11 様々な作品の紹介 編集した作品の中間発表
第10回 6/18 様々な作品の紹介 編集した作品の中間発表
第11回 6/25 編集した作品の中間発表
第12回 7/2 講評
第13回 7/9 講評 まとめ
成績評価の方法・観点
成績評価は、出席、授業ノートの提出、課題により行う。
履修要件
コンピュータを用いる芸術・映像表現に興味がある学生が好ましい
教科書・参考書等
[教科書]

カルチュラル・コンピューティング
文化・無意識・ソフトウェアの創造力
土佐尚子 著

発売日:2009.08.27
定価:2,520円
サイズ:A5判
ISBNコード:978-4-7571-0261-3

従来のITが成熟し、コンピュータの課題はシステムという箱から表現内容(コンテンツ)に移行してきている。これからは、文化としてのコンピュータの時代が到来する。いままで定量化できなかった個人の主観・感性・情緒・文化・民族性をコンピューティングできる時代の準備が整ってきた。
本書は、こうした「カルチュラル・コンピューティング」の概念を提示し、未来のコンピュータのコミュニケーション能力に欠かせない、人間の感情、意識、記憶の違いを反映させるコンピューティングの方法を説明する。
また、章間のコラムで著名人との対談を掲載し、「カルチャラル・コンピューティング」の展望と現実的可能性を多面的に明らかにする(対談者:長尾真、松岡正剛、イアン・コンドリー、スティーブ・ベントン)。

心・感情・記憶・ストーリー——工学と文化を結ぶコンピューティング。その全貌を明かす、「文化としてのコンピュータ」の必読書。

目次
序章 カルチュラル・コンピューティングの発見
1 思考・記憶をサポートするメディア
2 西洋の無意識から東洋の山水へ
3 文化の型がコミュニケーション技術になる

第1章 感情をコンピューティングする
1 メディアアート・文化・感性
2 音声から感情を認識・生成する《ニューロベイビー》
3 異文化間の感情翻訳メールソフト
コラム 鍵はイマジネーションにある(vsスティーブ・ベントン)

第2章 ストーリーをコンピューティングする
1 最初に世界があった
2 ストーリーと文化
3 連歌のように詩を詠むコンピュータ
4 笑いを喚起するコンピュータ
5 スト-リーの中のインタラクティビティ
コラム 物語の原型「川マザー」(vs松岡正剛)
コラム 制限を与えれば、物語が富んでくる(vs松岡正剛)

第3章 文化をコンピューティングする
1 文化の情報を取り出す
2 コミュニケーションを可視化する「無意識の流れ」
3 コンピュータによる山水禅《ZENetic Computer》
4 山水の遠近法――「三遠」
5 山水禅を聞く・旅する・住む
6 空気を読むコンピュータ
7 牡丹と唐獅子の《Hitch Haiku》

第4章 人間と調和する情報環境を実現するために
1 文化を工学的視点から見る
2 コンピュータに欠けているもの
3 なぜ、コンピュータが文化に向かうのか
4 文化のコンピューティング
5 漢字のビジュアルアナロジーが世界をつなぐ
コラム 文化とグローバリゼーション(vsイアン・コンドリー)
コラム 科学技術の夢はどこへ?(vs長尾真)
コラム テクノロジーが広げる新しい東西文化(vsイアン・コンドリー)

[参考文献]

・土佐尚子 著 NTT出版「カルチュラル・コンピューティング」-文化・無意識・ソフトウェアの創造力-
・ジェラルド・プリンス 著 「物語論辞典」松柏社
・松岡 正剛 著 「知の編集術」講談社現代新書
・ジャネット・マレー 著 『デジタル・ストーリーテリング』 国文社
・ブレンダ・ローレル 著 「劇場としてのコンピュータ」(株)凸版
・ジェイムズ・モナコ 著 「映画の教科書」フィルム・アート社など
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