物理学概論

授業の特色
大学入学まで及び今後の物理学を履修を前提とせず、現代物理学に興味を持って 貰うための講義。従って、理系で物理学の基礎学力が必要とされている分野の人 には受講を推奨しません。

講義詳細

年度
2010年度
開講部局名
全学共通科目
使用言語
日本語
教員/講師名
早川尚男(教授)

シラバス

授業形態 レクチャー
教員
早川尚男 所属: 京都大学大学院、理学研究科、物理学・宇宙物理学専攻
住所: 606-8501 京都市 左京区 吉田二本松町

職名: 准教授

専門: 理論物理学(統計力学・非線形動力学):
特にここ数年は粉体を主たる 研究対象にしています。
授業の概要・目的
19世紀末に完成されたと思われた物理学が20世紀に入いるや否や量子論と 相対論の誕生に伴って革命的に発展した。100年を経た物理学の現状を理解 するために物理学の歴史と諸分野の問題点を紹介し、現代社会における物理学 の役割と日常の物理についても論じる。

1. 物理学の現状と社会的な意味 講義の導入として現代の物理学が抱える様々 な問題点と社会との関わりをを、最近の相対主義科学観やSokal 事件等と の絡みから紹介する。

2. 20世紀の物理学の発展史 100 年前に戻って、物理学がどのように発展し ていったのかを講義する。特にEinstein の行なった事を意識しつつ、量子 論、相対論、統計力学、素粒子論、宇宙論、固体論等の発展を紹介する。

3. 古典物理の発展史 19 世紀までにどのような物理が発展してきたのか。Newton による力学の創始、電磁気学、熱力学等の発展史を講義して、原子の 存在に関する興味深い論争を紹介する。

4. 現代と日常の物理 現代の物理の抱える問題点を整理し直し、日常の物理学 を理解するのにはどういった視点が必要かを論じたい。
授業計画と内容
第1回 はじめに
第2回 物理学の現状と問題点
第3回 ニュートン力学入門
第4-7回 相対論入門
ローレンツ変換のノート
間奏曲ーソーカル事件と知の欺瞞ー
量子論入門(その1)
量子論入門(その2)
第8-9回 分子の実在性と統計力学の成立(統計力学その1)
第10回 不可逆性と統計力学(統計力学その2)
第11回 飛行機の飛ぶ訳
第12回 鳥、昆虫の飛翔
第13回 音響と音楽の物理
第14回 野球と衝突の物理(疲れたのでノートはアップしない
第15回 交通流と粉体の物理
第16回 宇宙論入門
成績評価の方法・観点
定期試験の結果及び講義中のレポート等に基づき評価する
教科書・参考書等
本講義ノート作成に用いた参考書です。より深く勉強する場合に使って下さい。 より本格的な教科書等は御自分で探して勉強して下さい。あくまで入門書ばかり であることに注意。逆に言えばここに挙げた大体の本は文系の人でも読める本だ と思っています。特に*のついたものはそうです。

小山慶太「異貌の科学者」(丸善1991)*

S. Hawking, Is the end in sight for theoretical physics : An Inaugural Lecture (Cambridge Univ. Press 1980)

村上陽一郎、科学哲学の窓(図書1999年3月号58-59頁)*

アブラハム・ パイス、西島 和彦/監訳、神は老獪にして(産業図書 1987)

江里口良治、藤井保憲、いまこそ相対性理論(丸善1991)

広重徹、物理学史I、II(培風館、1968)

内山龍雄、相対性理論 (岩波全書、1977)

徳岡善助編、物理学概論(上、下) (学術図書、1988)

内山龍雄、相対性理論入門 (岩波新書、1978)*

キップ S. ソーン、林一、塚原周信訳、ブラックホールと時空の歪み(白揚 社)*

米谷民明、量子論入門講義(培風館、1998)

日本物理学会編、アインシュタインとボーア(裳華房、1999)

高林武彦、量子論の発展史(中央公論,1977)

並木美喜雄、量子力学入門 (岩波新書1992)*

エミリオ・セグレ、久保亮五、矢崎裕二訳、X線からクォークまで(みすず、 1982)*

佐藤文隆、いまさら宇宙論(丸善、1999)

中村誠太郎編、物理科学の世界(NHK市民大学叢書、1977)*

今井功、パラドックスの効用、続物理の 散歩道(岩波, 1964)*

佐伯平二、はてなぜどうしてガリレオクイ ズ(合同出版、1997)*

巽友正、流体力学 (培風館、1982)

米沢富美子、ブラウン運動(共立、物理学 One Point 27, 1986)

J. R. Dorfman, An Introduction to Chaos in Nonequilibrium Statistical Mechanics (Cambridge Univ. Press 1999)

ヘンク・テネケス、高橋健次訳: 鳥と飛行機とどこがちがうか:飛行の 科学入門(草思社1999)*

東昭、生物の動きの事典(朝倉 1997)

ロバート・アデア、中村和幸訳: ベースボールの物理学(紀伊國屋1996)*

チェールズ・テイラー、佐竹淳、林大訳:音の不思議をさぐる:音楽と 楽器の科学(大月書店1998)*

ホアン・G・ローダラー、高野光司、安藤四一訳:音楽の科学:音楽の物理学、精神物理学入門(音楽之友社,1981)*

小橋豊、音と音波(裳華房 1969)
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