生物有機化学Ⅰ

講義詳細

年度・期
2011年度・前期
開講部局名
農学部
使用言語
日本語
教員/講師名
宮川 恒(教授)
中川 好秋(准教授)

シラバス

開講年度・開講期 2011年度 前期 授業形態 講義
対象学生 3回生 曜時限 水1
教員
宮川 恒 教授
中川 好秋 准教授
授業の概要・目的
農作物を害虫や病気などによる被害から守るために使用される農薬の歴史、化学構造とその作用発現のメカニズムについて解説する。

第1回 農薬とは(1)
農芸化学の一分野としての農薬学、生理活性化合物としての農薬、農薬などのくすりが作用を示す基本的なメカニズム
第2回 農薬とは(2)
くすりになる化合物はどうやってみつけるのか?医薬と農薬の本質的な違いは何か?農作物の害虫、病原微生物および雑草による被害、農薬の歴史とその役割
第3回 殺虫剤(1)
殺虫剤の作用点概観、神経の刺激伝達メカニズム、神経伝達物質アセチルコリン
第4回 殺虫剤(2)
アセチルコリン分解酵素を阻害する有機りん殺虫剤、カーバメート型殺虫剤
第5回 殺虫剤(3)
天然の殺虫性化合物と農薬、アセチルコリン受容体に作用する殺虫剤
第6回 殺虫剤(4)
昆虫の脱皮変態を阻害する殺虫剤
第7回 殺虫剤(5)
抑制性神経に作用する殺虫剤、筋肉に作用する殺虫剤
第8回 殺虫剤(6)
ナトリウムチャネルに作用する殺虫剤(ピレスロイドなど)
第9回 殺菌剤(1)
植物に病気をもたらす微生物について、殺菌剤の作用点概観、生物のエネルギー代謝復習
第10回 殺菌剤(2)
電子伝達を阻害する殺菌剤、SH基に作用する殺菌剤
第11回 殺菌剤(3)
チューブリンに作用して細胞分裂を阻害する殺菌剤、細胞膜を構成するステロールの合成を阻害する殺菌剤
第12回 除草剤(1)
雑草による被害と除草剤の歴史、除草剤の作用点概観、脂肪酸合成を阻害する除草剤
第13回 除草剤(2)
超長鎖脂肪酸合成を阻害する除草剤、ホルモン型除草剤
第14回 除草剤(3)
光合成を阻害する除草剤、植物色素の合成を阻害する除草剤
第15回 除草剤(4)
アミノ酸の生合成を阻害する除草剤(2011年度は台風による休講があったため第14回の中で短縮して解説)
授業計画と内容
1. 農薬の役割(1回)
農作物の害虫、病原微生物および雑草による被害について概説し、農薬の歴史とその役割について説明する。

2. 殺虫剤(6回)
害虫による被害を防ぐために用いられる薬剤の化学構造とその作用メカニズムについて解説する。

3. 殺菌剤(3回)
病原微生物による被害を防ぐために用いられる薬剤の化学構造とその作用メカニズムについて解説する。

4. 除草剤(3回)
雑草による被害を防ぐために用いられる薬剤の化学構造とその作用メカニズムについて解説する。

5. 農薬の生体内および環境中での運命(1回)
農薬が生物の体内あるいは環境中で受ける代謝分解反応について解説する。

6. 農薬の選択性(1回)
農薬が対象とする生物とそれ以外の生物との間で異なる作用が生じるメカニズムを考察する。

ボルハルト・ショアー「現代有機化学」を適宜参照し、関連する有機化学的な知識を確認するための課題を与えることがある。

オフィスアワーは随時。研究室は農学部総合館N-328。授業時間外の質問は宮川(miyagawa@kais.kyoto-u.ac.jp)宛のメールでも可。
成績評価の方法・観点
授業中の小テストおよび定期試験の成績を総合して評価する。
教科書・参考書等
[教科書]
使用しない, 適宜プリントを配布する。

[参考書]
桑野栄一他編著 『農薬の科学-生物制御と植物保護』(朝倉書店)
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