農村土地利用計画論

授業の特色
農村計画において、土地利用秩序の形成や景観形成面から土地利用計画の果たす役割は大きい。しかしその実効性面で多くの問題を抱えている。この授業では、土地利用計画を有効ならしめる大きな要素としての、住民参加や計画体系、計画方法について述べる。

授業の紹介
(1)京都府下を対象に土地利用上の諸問題と諸課題
(2)重層性に対応した総合計画の必要性
(3)総合計画における土地利用計画の位置づけ
(4)計画づくりにおける住民参加の有り様
(5)計画体系としての緊張モデルの紹介と適用例
(6)地区総合計画の計画方法としての神出方式の紹介と適用例
(7)ヨ−ロッパの土地利用計画の紹介

講義詳細

年度
2006年度
開講部局名
農学研究科
使用言語
日本語
教員/講師名
牛野 正(助教授)

シラバス

開講年度・開講期 2006 配当学年 修士&1・2回生
教員
牛野 正(助教授)
授業の概要・目的
1. 土地利用問題:農村地域における土地利用問題・地域問題と課題について講述する。
2. 重層性に対応した総合計画の必要性:土地利用問題を解決するために、計画単位と土地利用計画(総合計画)の関係を明らかにし、重層的な総合計画の必要性について述べる。
3. 総合計画と土地利用計画:総合計画における土地利用計画の位置づけや土地利用計画の策定方法について述べる。
4. 住民参加:市町村総合計画策定における住民参加の問題点と課題を明らかにし、住民参加の有り様について述べる。
5. 緊張モデル:土地利用問題を解決するために、計画体系のあり様が問題であるとし、あり様としては緊張モデルが有効であるとしている。さらに住民主体による地区総合計画づくりが重要である。
6. 住民主体による土地利用計画づくり:住民主体により、実効性のある土地利用計画を策定していくための方法論として、神出方式について講述する。
7. ヨ−ロッパの土地利用計画:ヨ−ロッパの土地利用計画、とりわけイギリス、ドイツ、スイス、イタリー等の土地利用計画について講述する。

第1回 1980年前後の京都府下の市町村の自然環境の変化や開発保全志向、1990年代のプロジェクトや耕地・林地の転用状況等について述べる。
第2回 総合計画と土地利用計画の相互関係や、市町村・地区・広域レベルの総合計画の特徴及び重層性に対応した総合計画の必要性について述べる。
第3回 重層性に対応した総合計画を策定するために必要なデータの策定方法と、京都府下の広域圏、市町村、旧村の具体例について述べる。
第4回 市町村総合計画や市町村土地利用計画の性格及び土地利用規制の意義と問題点を明らかにし、土地利用調整条例や協定の意義について述べる。
第5回 市町村総合計画の策定過程における住民参加の形態と問題点を明らかにし、地区総合計画の場合の住民参加のあり様について述べる。
第6回 農村計画体系としての緊張モデルの必要性と意義を明らかにし、京都市や神戸市の行政計画の実態について述べる。
第7回 住民主体による地区総合計画づくりの計画方法としての神出方式とその適用地区の概要と成果について述べる。
第8回 集落地域整備法による計画づくりの成功事例である加古川市神野地区の計画プロセスと神出方式を比較する。
第9回 スイスの3層構造の空間計画の概要とその一つである市町村レベルの土地利用計画の具体例について述べる。
第10回 ドイツの農村計画の計画体系について述べ、更に市町村レベルの土地利用計画の具体例について述べる。
第11回 ブリストルでのパートナーシップによる持続可能な地域づくりの成功要因について討議する。
第12回 英国における地域内資源循環型の持続可能な地域づくりの事例について討議する。
第13回 持続可能な地域づくりに向けた政策の変遷とそれを支えた仕組みと手法及びわが国との相違について討議する。
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