電気電子基盤技術の展望 -電気電子基盤技術の研究教育拠点形成-

授業の紹介
21世紀における人類の持続的繁栄にとって、地球環境に十分配慮した超高度通信技術および電力供給技術が不可欠である。このような未来社会からの要請を満足する技術を確立するためには、電子材料・デバイス、回路・システム設計、および通信システム・電力システムに関する研究の革新的進展が必須となる。本講座においては、体系的なカリキュラムのもと、電気・電子基盤技術の概要について講述する。

講義詳細

年度
2004年度
開講部局名
工学研究科
使用言語
日本語
教員/講師名
野田 進( )

シラバス

配当学年 修士課程
到達目標
評価
レポート提出により、出席確認も兼ねるものとします。

最終成績
全12回の合計点を求め、本講義の成績とします。
授業計画と内容
21世紀COEプログラム「電気電子基盤技術の研究教育拠点形成」が推進する電気電子基盤技術の概要を講述する。本プログラムは2002年に採択され、工学研究科電子工学専攻・電気工学専攻、情報学研究科通信情報システム専攻が一体となって推進中である。21世紀社会を支えるエネルギー技術、情報・通信技術、さらにそれらの基盤となる材料デバイスなどの電気・電子基盤技術について研究教育拠点の活動状況を述べる。電気電子基盤技術が体系的に習得できるカリキュラムを提供する。

第1回「新しい光ナノ構造:フォトニック結晶」野田進
現在、光を自在に扱うことが可能である新しい光ナノ構造としてフォトニック結晶が大きな関心を集めている。本講義では、フォトニック結晶の基礎と応用について説明する。

第2回「ワイドギャップ半導体」須田淳
ワイドギャップ半導体はその優れた諸物性から、次世代電子デバイス材料として期待されている。さらに、異種ワイドギャップ半導体を機能的に融合することで、単独材料では実現不可能な超高性能デバイスを創製できる。理論的背景、克服すべき課題、現在の研究状況について概説する。

第3回「分子系材料を用いたナノデバイス創成と応用」石田謙司
次々世代の革新材料の1領域として、「分子系エレクトロニクス」が注目されている。軽量・フレキシブルな構造特性、印刷法に代表される簡易な作製プロセス、単一分子での機能実現の可能性、など無機材料では展開困難な物理的・化学的性質を生かしたデバイス創成への期待が集まっている。本講義では、分子系エレクトロニクスを構造・機能の両面から検証し、そのメカニズムとデバイス応用の可能性を考察していく。

第4回 (予備日) ---

第5回「最近のイオンビーム技術とその将来展望」石川順三
最近のイオンビーム装置技術の展開および電気電子工学領域における新しいイオンビームの応用技術について述べると共に、その将来展望について言及する。

第6回「量子コンピューティング」北野正雄
遠距離相関、波束の収縮など量子力学固有の性質を最大限に活用して、古典系では不可能な情報処理、通信、計測を実現しようとする試みが始まっている。その原理を説明するとともに、研究の現況について紹介する。

第7回「コンピュータアーキテクチャ」富田眞治
最新のマイクロプロセッサの高速化手法(スーパスカラ、VLIW、マルチスレッド、投機実行など)について概説し、その将来展望を述べる。

第8回「ネットワーキング技術」高橋達郎
ネットワーキング技術に関する現在の技術動向と、COEプログラムにおけるフォトニックネットワーク、モバイルネットワークの研究状況を述べる。

第9回「アルゴリズムのハード化」久門尚史
再構成可能な集積回路(FPGA)を用いたアルゴリズムのハード化技術により、これまでにない柔軟なプロセッサを実現し、身近なパソコンが専用計算機として活用できることを、実例を交えて説明する。

第10回「システムオンチップ(SoC)技術」中村行宏
「産業の米」といわれて久しい「大規模集積回路(VLSI)」の要素技術としての重要性は益々高まっている。すべての情報通信システム構築の核(コア)となるVLSIシステム化について、その設計・方式構成法の観点、産業構造の観点から概説する。

第11回「システム制御技術の電力ネットワーク応用」萩原朋道
電力ネットワーク分野においてシステム制御技術が果たす役割として、電力系統縮約の例を紹介する。これは、多数の発電機からなる大規模システムを、その特性を極力損なわない形で低次の簡略システムによって近似するものであり、種々の複雑な人工物の解析にも応用可能な考え方といえる。

第12回「高温超伝導体のイントリンシック・ジョセフソン接合とその応用」鈴木実
超伝導のエレクトロニクス応用で、主役を担うのはジョセフソン接合である。高温超伝導体で人工的に作られるジョセフソン接合の特性はまだ必ずしも十分ではない。イントリンシック・ジョセフソン接合は高温超伝導体の結晶構造そのものであって理想的な特性を示す。その興味深い特長と応用について講述する。

第13回「超伝導応用」星野勉
超伝導は、量子効果がマクロサイズで見られる現象であるが、応用しようとすると、超伝導以外の特性を示すものと複合させる必要がある。その際たるものは極細多芯線であるが、工学的取扱がされていて、純粋理論的解明は困難である。そこで、超伝導体だけで構成される部品に磁束を入れて、その超伝導・常伝導転移を有効に用いる、磁束ポンプについて、解説する。

 
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