構造力学2及演習

授業の特色
トラスの力学の「つりあい式」と「変形の式」が互いに「共役な連立1次方程式」で表現されることを示したあと、線形代数学のごく簡単な恒等式を用いて、仮想仕事の原理がどのように導かれるかを説明する。また例題により、それがどのような意義をもつかを示す。

授業の紹介
「構造力学」は橋梁などの構造物を設計するための実学であり、設計に役立つ計算法を学ぶことが従来のその目的である。しかし、ここではこの従来の目的ではなく、構造力学の「からくり」を説明することに主眼を置いている。なぜなら、構造力学という比較的、単純な力学モデルのなかにも、もっと広範な力学の基本 的枠組みが潜んでいるからある。すなわち、構造力学の核心部分には、他の力学の核心部分にも通じるところがかなりある。そしてそのキーワードが「仮想仕事の原理」であるといえる。この授業では、仮想仕事の原理を中心におきながら、「構造の力学」を通して「力学の構造」を学習する。

講義詳細

開講部局名
工学部
使用言語
日本語
教員/講師名
田村 武(教授)
備考
当該年度の授業回数などに応じて一部省略、追加がありうる。

シラバス

開講年度・開講期 前期 配当学年 学部3年前期
教員
田村 武(教授)
授業の概要・目的
構造力学1及演習で学習したことを踏まえて、構造力学の理論的中心の1つとなる仮想仕事の原理について説明する。ここでは力学的な考察と数学的な推論を明確に分離し、仮想仕事の原理のもつ数学的意味と力学的な効用について簡単な例題を用いながら考察する。 なお、この講義は5名の教員がクラス別に講義しているが、田村担当のクラスに対する授業を紹介する。

第1回 連立1次方程式と仮想仕事の原理
第2回 トラス構造の基礎
第3回 1次元モデルの仮想仕事の式
第4回 不安定、静定、不静定
第5回 応力法によるトラス解析
第6回 2次元弾性トラス
授業計画と内容
このコースでは、実際の講義の前半部であるトラス構造に限って説明している(後半部のはり構造については準備中)。その理由は、トラス構造を理解するための数学的準備が簡単であり、かつまた、見通しのよい説明ができるからである。しかも、トラス構造の理論とはり構造の理論の数学的仕組みはきわめて類似しており、トラス構造を学習するだけでも、かなりの広範囲の力学の基礎を知ることになる。なお、第1回目では特に、力学をまったく用いずに仮想仕事の原理の核心部分を説明する。
履修要件
[予備知識]
構造力学の基礎、線形代数学
教科書・参考書等
[教科書]

・田村 武著: 『構造力学 仮想仕事の原理を通して』 (朝倉書店 2003年)

・田村 武著: 『線形代数』 (共立出版 1994年)
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