画像処理論

授業の特色
計算機を用いた画像処理は、ディジタルカメラの普及、WEB利用の拡大につれてますますその重要性を増してきている。また、計算機で画像処理を行うフォトショップなどのソフトウエアもよく利用されている。

この授業では、計算機による画像処理の基本的な事項について考察し、その原理を理解することを目指す。市販の画像処理ソフトウエアで実現されている機能がどう作られているのかを理解することにより、それらの機能でうまく処理できないときにどう改良してゆけばいいのかという知見が得られるように、応用の利く基礎知識を身につけるように進めてゆきたい。

授業の紹介
計算機を用いた画像処理の原理、手法について概説する。とくに、画像の入出力、画像に対する信号処理、画像計測についてその原理と手法を講述するとともに、計算機の基本的な入出力メディアとしての画像の果たす役割について考察する。

講義詳細

年度・期
2004年度・前期
開講部局名
工学部
使用言語
日本語
教員/講師名
美濃 導彦(教授)
備考
当該年度の授業回数などに応じて一部省略、追加がありうる。

[画像処理論試験問題]
(1) 平均値フィルタが低域通過フィルタになっていることを証明せよ。
(2) ハフ変換による直線抽出の手法について説明し、パラメータ空間の選択方法について論じよ。
(3) 画像処理などの情報技術が社会にどのようなインパクトを与えるかについて自分の意見を整理して論理的に述べよ。特に、その良い面と悪い面を対比せよ。

シラバス

開講年度・開講期 2004・前期 配当学年 学部3年前期
教員
美濃 導彦(教授)
授業の概要・目的
計算機を用いた画像処理の原理、手法について概説する。とくに、画像の入出力、画像に対する信号処理、画像計測についてその原理と手法を講述するとともに、計算機の基本的な入出力メディアとしての画像の果たす役割について考察する。

第1回 画像処理の関連分野の概説として、画像を計算機で扱う分野を広く捉えて解説する。その中で、本コースで扱う部分の位置づけを行う。
第2回 計算機による画像処理の一般的な流れについて説明する。画像が一般的には2変数関数として表現され、計算機内では2次元配列として表現されていることを説明した後、一般的な処理として復元処理、前処理セグメンテーション、特徴抽出処理を行うことを解説する。
演習1 フーリエ変換を中心として画像を周波数領域で扱う手法を復習、演習する。
第3回 現実世界にある画像、たとえば紙に書かれた文書やプリントされた写真を計算機に入力する方法、および3次元世界をカメラで撮影し計算機に入力する方法の2つについて、その原理を考える。
第4回 計算機で処理された画像を、プリンタやディスプレイにより表示する方法、そのための装置、その構成、原理について考える。
演習2 直交変換の一般的議論と特に画像処理でよく利用するアフィン変換、畳み込みの手法などについて復習、演習する。
第5回 入力装置に起因する画像のひずみの種類、およびその復元方法について考える。
第6回 画像から抽出したい情報を定めた後、それ以外の情報を除去する方法について考える。周波数による分離、特にエッジの情報を保ったまま低周波数成分を除去する方法について考える。
第7回 抽出したい物体の色情報を利用する場合、前処理として対象物体の色を抽出しやすくすることが重要である。このための色空間について考える。
第8回 濃淡画像を二つの領域に分ける閾値処理はセグメンテーションの基本である。閾値を決めるさまざまな方法、および濃淡値の似通っている部分を領域として抽出する領域分割法を中心に考える。
演習3 画像処理でよく利用する統計分布、それに対する勾配処理、観測データの最小二乗法による近似などについて復習、演習する。
第9回 前処理結果を利用して必要な情報を抽出する処理について考える。画像の濃淡値が急激に変化している箇所が人間にとって情報となっていることに着目したエッジ抽出法、およびエッジを対象として、それらから線表現を抽出する手法について考える。
第10回 特徴抽出の対象となる表現は画像の中から抽出された、線か領域である。これらに対して、どのような特徴を抽出しそれぞれを記述するのがよいかについて考える。特徴はそれを利用してどのようなことをするのかに依存するということを理解する。
授業計画と内容
コースは大きく4つの部分に分かれる。
画像処理の関連分野の概説として、画像を計算機で扱う分野を広く捉えて解説する。その中で、本コースで扱う部分の位置づけを行う。
画像の入出力装置の構成、画像の入出力の原理、入力、出力方法、ディジタル化など画像の入出力にかかわる部分を説明する。
計算機内にディジタル画像として2次元配列で表現されている画像を処理する方法について詳述する。画像を処理するに当たってはその目的、および画像の質が重要で、それらに応じてさまざまな手法があることを理解する。
最後に処理した結果はどのように利用されているのかについて、現実で利用されているシステムを例に解説する。

第1回 はじめに
第2回 画像処理の流れ
演習1 フーリエ変換
第3回 画像の入力処理
第4回 画像の出力処理
演習2 直交変換
第5回 画像の復元処理
第6回 前処理I
第7回 前処理II
第8回 セグメンテーションI
演習3 分布と勾配
第9回 セグメンテーションII
第10回 特徴抽出
成績評価の方法・観点
[タイプ]
レポートには3種類あります。
1.意見を求めるもの
2.正解のある数学的な問題
3.プログラム

[評価]
1の種類のレポートは、文章の論理的構成を重視して、3段階で評価します。
2の種類のレポートは、正解までの過程を評価して、5段階で評価します。
3の種類のレポートは、プログラムが正常に動作すること、処理結果が正しいことを評価基準として3段階で評価します。
履修要件
[予備知識]
情報理論、データ構造、確率と統計
教科書・参考書等
[1] 長尾真 : 画像認識論, コロナ社, 1983

[2] A. Rosenfeld, Kak : 長尾真監訳 : ディジタル画像処理, 近代科学社, 1978

[3] 森俊二, 坂倉栂子 : 画像認識の基礎I, オーム社, 1986

[4] 森俊二, 坂倉栂子 : 画像認識の基礎II, オーム社, 1990
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