半導体工学, 2011

講義詳細

年度・期
2011年度・後期
開講部局名
工学部
使用言語
日本語
教員/講師名
木本 恒暢(教授)
須田 淳(准教授)

シラバス

開講年度・開講期 2011年度 後期 授業形態 講義
対象学生 2回生
教員
木本 恒暢(教授)
須田 淳(准教授)
授業の概要・目的
主要な半導体材料と応用分野を紹介した後,半導体の基礎物性とpn接合の理論を詳述する.次に,ダイオードとトランジスタの基本構造,動作原理,性能向上の工夫を解説する.半導体の磁電的,光電的諸現象についても概述し,各種半導体素子の構造,特性ならびに応用についても言及する.
到達目標
あらゆる電子回路に不可欠な半導体デバイスである,ダイオードおよびトランジスタの動作原理 (物理) を自分の言葉でしっかりと説明できるようになることが目標である.ダイオードの一種である,太陽電池,発光ダイオード (LED) についてもあわせて説明する.各種の物理現象を自在に駆使し,創意工夫によりユニークな機能を実現してきた半導体デバイスの学習を通じて,創造する物理学~応用物理 (applied physics) ~の一端を感じ取って欲しい.
授業計画と内容
半導体工学の概要 (1回)
電気電子工学において半導体がどのように使用されているかを述べ,それらが,半導体材料の持つ特性を活用したものであることを概述したのち,講義全体のスコープを紹介する.

半導体物性の基礎 (4-5回)
半導体の基礎物性を左右するバンド構造を概述したのち,p型,n型の区別を論じ,電荷輸送粒子 (キャリヤ) の種類,密度,移動度が導電性を決定することを述べる.多数キャリヤ,少数キャリヤの挙動を詳述する.半導体の磁電的性質や高電界効果についても触れる.

pn接合の理論 (3-4回)
金属と半導体の接触の電気的特性およびpn接合の基礎理論を,空間電荷層,中性領域に分けて論じる.電位分布,電流--電圧特性,容量--電圧特性を求めて静的な特性を述べる.空間電荷層におけるキャリヤの生成・再結合の影響について説明した後,pn接合の交流特性,スイッチング特性など動的な特性についても論じる.

トランジスタの特性 (3-4回)
バイポーラトランジスタおよび電界効果トランジスタの構造,動作原理と特性を論じる.トランジスタの構造や材料物性が特性に及ぼす影響を論じ,性能向上の方策について説明する.

光電効果素子 (1回)
半導体内での光→電気,電気→光の信号やエネルギーの変換機構を概述し,これを活用する半導体素子についてその特性を述べる.
成績評価の方法・観点
100点満点の定期試験により評価し,60点を合格とする.予習,復習のためにレポートを数回出題する.(提出しなくても減点しないが,レポートに取り組んだことを前提とした講義,試験を行う.)
履修要件
数学,物理,化学の基礎が必要である.固体のエネルギーバンド理論を既に学習していることを前提に話を進めるので,物性・デバイス基礎論を受講しておくことが望ましい.
教科書・参考書等
[教科書]
松波弘之: 半導体工学 (昭晃堂)

[参考書]
教科書と授業で十分に理解できない人は,随時,半導体工学関連書籍を当たること.半導体の基礎理論に関しては,森北出版 高橋清「半導体工学第2版」が詳しくお勧めである.半導体デバイスについては,多数の教科書があるので,自分のレベルにあったものを探すこと.大学生なので,洋書の教科書の購入も是非検討して欲しい.WILEY S. M. Sze, Kwok K. NG ""Physics of Semiconductor Devices""は,半導体研究者・技術者のバイブル,世界的名著である.エレクトロニクスの関する職業に就くとなれば,一生使える本なので,買って損はない.
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