物性・デバイス基礎論

電子が関与する固体の各種性質,現象の基礎を学習する.電子のエネルギー状態を量子力学的観点から理解し,平衡状態における粒子のエネルギー分布を熱力学や量子統計力学の観点から理解する.さらに,固体を構成する化学結合や結晶構造を学んだ後,電子の輸送現象や電子放出を理解することを目指す.固体内や真空中における電子の挙動を概述する.

講義詳細

年度・期
2011年度・前期
開講部局名
工学部
使用言語
日本語
教員/講師名
木本 恒暢(教授)
須田 淳(准教授)

シラバス

開講年度・開講期 2011年度 前期 配当学年 2回生
曜時限 火1
教員
木本 恒暢(教授)
須田 淳(准教授)
授業計画と内容
量子力学の基礎
電子が波動性を持ち,その挙動がシュレディンガー方程式で 記述されることを述べ,各種のポテンシャルに対する解を求めて,量子力学の基礎を紹介する.原子内電子のエネルギーが離散的値をとることを論じ,化学結合についても触れる.

統計力学の基礎
統計力学の基礎となる分布関数について説明した後,ボルツマン統計,ボーズ・アインシュタイン統計,フェルミ・ディラック統計を紹介する.各統計に従う粒子の特徴と分布関数の形を論じる.統計力学を現実の物理現象の解釈に適用した例についても述べる.

固体物理の基礎
原子結合や結晶構造について説明し,結晶における面や方位の定義を紹介する.結晶における格子振動を論じ,格子振動が固体物性に与える影響を説明する.固体結晶の簡単な評価方法についても紹介する.

固体内電子の挙動
固体内における電子の挙動を,電界の影響を含めて論じる.固体表面からの各種の電子放出機構を述べ,電子の数や速度分布が電流にどのように影響するかを述べる.次に,シュレディンガー方程式に周期的なポテンシャルを与えると,固体内電子のエネルギー状態がバンド構造となることを説明する.これを基に,固体内電子の有効質量の概念を紹介し,電気伝導現象が導電性,絶縁性に区別できることを論じる.
成績評価の方法・観点
100点満点の定期試験により評価し,60点を合格とする.予習,復習のためにレポートを数回出題する.(提出しなくても減点しないが,レポートに取り組んだことを前提とした講義,試験を行う.)
教科書・参考書等
[教科書]
田中哲郎: 物性工学の基礎 (朝倉書店)

[参考書]
教科書と授業で十分に理解できない人は,量子論,統計力学などの各種教科書を自分で調べるように.
推奨する参考書(是非購入を検討して欲しい)は、岩波 物理入門コース「量子力学I」,「量子力学II」,「熱・統計力学」,丸善 キッテル 「固体物理学入門第8版」である.
量子力学に深い興味を持った者には,みすず書房 朝永振一郎 「量子力学I」,「量子力学II」を勧めたい.量子力学の発展の歴史が分かって面白い.
この授業の要点のみをまとめた書籍が必要ならば,森北出版「新版電子物性」がある.
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