経済史2
授業の特色
19世紀中葉のパクラ・ブリタニカ全盛期から20世紀後半のパクス・アメリカーナへの展開を 1. ブリティッシュ・エンパイアのアメリカへの継承 2.「ドイツ問題」の解決という二重のプロセスとしてえがきます。
授業の紹介
本講義は、19世紀中葉から第一次大戦にかけてのパクス・ブリタニカから、第二次大戦後のパクス・アメリカーナへ国際経済の構造がどのように転換していったか、イギリス・アメリカ・ドイツを中心に、解説します。講義においては、第一次大戦から第二次大戦後にかけてのイギリスからアメリカへの経済的リーダーシップの移行過程について、各画期における米欧各国の政策担当者が直面した経済政策上のさまざまな問題とその克服過程に着目しつつ、考察します。また、戦間期(第一次大戦から第二次大戦にかけて)における米欧の政策協調はなぜ失敗したのか、第二次大戦中にアメリカが構想した国際経済秩序はどのようなものであるか、また、それがどのような問題を抱えいつどのように確立されたのか、などの問題に取り組み、1970年代以降定例化した米欧日の経済サミットとその政策協調のフレームワークが如何なる史的プロセスを経て形成されたか検討を加えます。
講義詳細
- 開講部局名
- 経済学部
- 教員/講師名
- 坂出 健(経済学研究科 准教授)
シラバス
開講年度・開講期 | 〜2010 | 配当学年 | 経済学部・法学部 2・3・4回生 |
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教員 | 坂出 健(京都大学大学院経済学研究科 准教授) |
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授業計画と内容 | 第1部 パクス・ブリタニカの構造とその解体過程 (1)パクス・ブリタニカの構造(1880-1914年)−ブリティッシュ・エンパイアの構造とポンド体制 (2)第一次大戦とパクス・ブリタニカの再編(1915-1928年)−ベルサイユ条約とドイツ賠償問題、再建金本位制、アメリカの債権国化とドル・ポンド体制 (3)恐慌脱出の諸方策(1929-1937年)−大恐慌とニューディール政策、ナチス経済体制、スターリング・ブロックの形成 第2部 パクス・アメリカーナの形成過程 (4)第二次大戦の起源と帰結(1938-1945年)−イギリス宥和政策とプリティッシュ・エンパイア、アメリカ孤立主義と武器貸与法、ブレトン・ウッズ合意と戦後世界経済秩序の構想 (5)マーシャル・プランと戦後西欧復興(1946-1958年)−ドイツ戦後処理問題からドイツ復興計画へ (6)ブレトン・ウッズ体制の構造(1959-1967年)−ブレトン・ウッズ体制下の政策協調とドル機器の構図、欧州統合の進展 (7)サミット・G7体制の成立(1968-1975年)−1976年IMF危機、マクロ政策協調の実相 #1 本講義の課題と視角−「帝国」と「覇権」 第1部 第一次大戦以前におけるパクス・ブリタニカの構造 #2 重商主義から自由貿易政策へ #3 多角的貿易システムの構造とブリティッシュ・エンパイア 第2部 第一次大戦後のパクス・プリタニカ解体過程 #4 第一次大戦後における国際経済再建問題 #5 大恐慌と1930年代の国際経済(1)アメリカ−大恐慌とニューディール #6 大恐慌と1930年代の国際経済(2)ドイツ−ナチス経済体制 #7 大恐慌と1930年代の国際経済(3)イギリス−スターリング圏の形成 第3部 第二次大戦の起源・運営・帰結 #8 第二次大戦の起源・運営・帰結(1)孤立主義から武器貸与援助へ #9 第二次大戦の起源・運営・帰結(2)ブレントン・ウッズ会議 第4部 マーシャル・プランと西欧経済復興 #10 ブレトン・ウッズ構想の破綻からマーシャル・プランへ #11 ドイツ戦後処理問題からドイツ復興計画へ #12 EPU(欧州決済同盟)結成とスターリング圏 #13 ドル危機の構図と米欧相互依存体制の成立 |
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教科書・参考書等 | 神武庸四郎・萩原伸次郎著『西洋経済史』有斐閣、1989年 |