経済史2(国際政治経済学 : 理論・歴史・政策)

第1回 コースの紹介 坂出 健(京都大学大学院経済学研究科 准教授)

※第13回で配布された資料は下記一覧のリンクよりダウンロード可能です。
近現代(資本主義の成立とその後の変化~第二次大戦後に至るまで)の欧米及び日本を中心とする世界史を対象とし、経済の視点から国際関係の歴史的変化について考察する。
基本的な分析視角は、「グローバル化」と「資本主義の変容」である。近年、世界経済は著しくグローバル化(資本・労働、貿易・直接投資・間接投資など国境を越えた経済活動の促進)しているが、それは近代以降、漸進的に進展していたといえる。イギリスで誕生した資本主義的経済システムは、ヨーロッパ、そして地球上の各地域に波及した。各国における資本主義の成立・発展過程では経済成長が実現されたが、その一方で各国間の不均等発展や経済摩擦が発生する。それは、世界大恐慌や2つの世界大戦を引き起こす要因ともなった。こうした諸問題を解決・調整する仕組みが、歴史的にどのように形成されたのか、この講義を通じて考察する。

講義詳細

年度・期
2017年度・後期
開講部局名
法学部, 経済学部
使用言語
日本語
教員/講師名
坂出 健(京都大学大学院経済学研究科 准教授)
開催場所
法経第五教室

シラバス

開講年度・開講期 2017・後期 授業形態 講義
配当学年 2-4回生 対象学生 Undergraduate
使用言語 日本語 曜時限 月2
教員
坂出 健(京都大学大学院経済学研究科 准教授)
授業の概要・目的
国際政治経済学(International Political Economy)の理論的視角から国際関係史を検討する。
本講義では国際政治経済学・国際関係論の諸潮流を学びその視点から、ウェストファリア体制から今日までの国際関係の歴史的展開を把握します。現代の国際社会は、国際政治と国際経済の交錯した複雑な情勢の中で、政策上の諸課題の新たな解決策を求めています。こうした状況の中で注目を浴びているのが「国際政治経済学」と呼ばれる学問分野です。国際政治経済学は、国際政治学・国際経済学の複合的な視座から国際社会の問題に、理論・歴史・政策の三つの側面から探求に取り組むアプローチです。
到達目標
①国際政治経済の関心のあるトピックについて自分で調査する力を身につける。
②国際政治経済学の基本的な概念を学習し、①について理論的枠組みからとらえる力を身につける。
③国際政治経済について自分の考えをもつ。
授業計画と内容
第1章 リアリズムの先駆者
・トゥキディディス『歴史』と「トゥキディディスの罠」
・マキャベリ『君主論』
第2章 ウェストファリア条約
・三〇年戦争
・現実-ホッブス『リヴァイアサン』
・歴史-グロティウス『捕獲公論』『国際平和の法』
・理想-ルソー『社会契約説』
・テシィケ『ウェストファリアの神話』
第3章 ウィーン体制と国際金本位制
・スミス『諸国民の富』
・ウィーン条約と勢力均衡
・リカード『経済学原理』(比較優位の原理・国際収支の自動調整論)
・ソウル-国際貿易と国際決済
・国際金本位制の構造
・ケインズ『インドの貨幣』
・カント-『実践理性批判』から『永遠平和のために』
ヘーゲル大論理学概念論における主観性と客観性
・ヘーゲル『精神現象学』と『大論理学』
・デモクラティック・ピース・セオリー
第4章 第一次大戦・両大戦間期・第二次世界大戦
・レーニン『帝国主義論』
・ケインズ『戦争の平和的帰結』
・ウィルソン理想主義と国際連盟
・再建金本位制からブロック経済へ
・キンドルバーガー『大不況下の世界』(覇権安定論)
・カー『危機の二〇年』
・金本位制-「ゲームのルール」
第5章 現実主義の確立
・ブレトンウッズ会議とブレトンウッズ体制
・モーゲンソー『国際政治』
・ケナン「X論文」
・N-1国とN番目の国の非対称性
第6章 現実主義の新しい展開
・新現実主義-ウォルツ『国際政治の理論』
・キッシンジャーとニクソン外交
・ギルピン(覇権衰退論)
・トリフィンのジレンマ
・ニクソン・ショック(金ドル交換停止)と変動相場制
第7章 新理想主義の登場
・クーパー(相互依存論)
・ナイ・コヘイン(複合的相互依存論)
・ナイ(アフター・ヘゲモニー)
第8章 国際公共財理論
・公共財と集合行動
・共有地の悲劇
・公共財としての覇権
・バードン・シェアリングからマクロ政策協調へ
・米財務省証券本位制
・オイルショックとペトロ・ダラー論
第9章 冷戦終結と国際関係理論
・ネオリベラリズム経済政策とネオコンサバティブ外交政策
・フクヤマ「歴史の終焉」論『歴史の終わり』
・ハンティントン「文明の衝突」論『文明の衝突』
・コジェーヴ・シュトラウス論争の再評価
第10章 構築主義(コンストラクティビズム)
・ウェント
・ラギー (埋め込まれた自由主義)
・人道的介入
第11章 英国学派
・ワイト(3Rs)
・ブル『国際社会論』
・ジャスト・ウォー・セオリー(正戦論)
第12章 今日の理想主義
・アイケンベリー(リベラル大戦略論・アフタービクトリー)
・ヤングとクラズナー(グローバル・ガバナンス論)
・セン(人間の安全保障)
第13章 今日の現実主義
・ミアシャイマー(攻撃的リアリズム)
・レイン(幻想の平和)
・アリソン(トゥキディディスの罠)
第14章 今日の国際関係理論
・ブレマー(Gゼロ論)
・アーロン・フリードバーグ
・ジョージ・フリードマン(地政学)
第15章 歴史の必然性と主体
・ウェストファリアの「神話」と「解釈」
・「歴史の終焉」論対「文明の衝突」論再論
・「必然性の国から自由の国へ」の理解をめぐって
成績評価の方法・観点
定期試験・京都大学ネット講義(KoALA国際政治経済学)・平常点により評価する。
履修要件
特になし
授業外学習(予習・復習)等
「(一般)経済史」「世界経済史」「日本経済史」「西洋経済史」などと題されている図書を事前に通読しておくことが望ましい。
教科書・参考書等
PandAを通じて講義資料を事前に配布する(各自印刷して持参すること)。 受講者は、PandAに登録し、講義に関する案内をチェックするとこと。PandAに登録出来ていない場合は開講までに(9月中に)、メールで、件名:【PandA「経済史2」登録希望】(学部回生・学籍番号・氏名)メール本文に、情報環境機構メールアドレス(~ at st.kyoto-u.ac.jpで終わるアドレス)を添えて、坂出宛(sakade at econ.kyoto-u.ac.jp)に送信すること。
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