言語教育政策論演習

複言語主義の社会的課題と教育上のリソース Laurent Gajo (Université de Genève)

講義詳細

年度・期
2011年度・前期
開講部局名
総合人間学部
使用言語
日本語
教員/講師名
西山 教行(人間・環境学研究科)
Laurent Gajo(Université de Genève)
備考

シラバス

開講年度・開講期 2011年度 前期 授業形態 演習
対象学生 2-4回生 曜時限 水4
教員
西山 教行
授業の概要・目的
この授業では19世紀末に活躍したフランス人著作家Leopold de Saussure(1866-1925)のフランス植民地主義に関する著作Psychologide la colonisatioon francaise dans ses rapports avec les societes indigenes (1899)を取り上げ,フランス植民地主義における言語問題を考察する。

Leopold de Saussureは近代言語学の祖Ferdinand de Saussure (1857-1913)の弟であり,中国学者にして,海軍士官である。植民地主義に関しては,本書一冊を残したのみであるが,19世紀末から20世紀にかけて,フランス植民地主義が同化主義から協働主義へと転換を遂げる上での重要なイデオローグの役割を果たした。本書は植民地同化主義の限界を明確に指摘し,フランス同化主義の源泉を大革命にあると看破するなど,その思想史的意義は大きい。また植民地会議にも論客としてたびたび招聘され,なかでも1900年に開催された植民地社会学国際会議での発言は植民地同化主義に決定的であり,それ以降,協働主義という緩やかな同化主義が植民地経営の基調となってゆく。

Leopold de Saussureの活躍した時代から100年以上経ち,いま改めてその著作を読み直すと,「人種主義者」の相貌の元に,異民族に言語を教えることは何を意味するのか,という根源的問題が立ち現れる。
授業計画と内容
本書は以下の15章から構成されている。

1)原住民の制度
2)精神性の遺伝
3)ドグマの起源からの変化
4)同化というドグマ
5)同化の効果
6)教育による同化
7)制度による同化
8)言語による同化
9)クレオール地域での同化
10)同化という措置の不可逆性
11)1889年の植民地会議と同化論
12)個別的な同化の問題
13)ローマ治世下のガリア
14)日本の場合
15)まとめ

授業では,受講者に訳文を提出してもらい,それを元に討論を進める。
成績評価の方法・観点
出席,レポートによる総合評価を行う。
教科書・参考書等
教科書:プリントを配布する。

参考書:授業中に紹介する
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